令和２年３月３日　午前１０時００分　開　議

　　　　　　細　　矢　　俊　　博　議長　　　　　　　髙　　橋　　光　　男　副議長

◎出席議員（１８名）
　１番　　　齋　　藤　　俊 一 郎　議員　　　　　　　２番　　　高　　橋　　弓　　嗣　議員
　３番　　　滝　　口　　公　　一　議員　　　　　　　４番　　　元　　木　　十 四 男　議員
　５番　　　東 海 林　　克　　彦　議員　　　　　　　６番　　　三　　宅　　一　　人　議員
　７番　　　植　　松　　　　　宏　議員　　　　　　　８番　　　片　　桐　　勝　　寿　議員
　９番　　　山　　科　　幸　　子　議員　　　　　　１０番　　　高　　橋　　鉄　　夫　議員
１１番　　　白　　井　　健　　道　議員　　　　　　１２番　　　河　　村　　　　　豊　議員
１３番　　　原　　田　　利　　光　議員　　　　　　１４番　　　浅 野 目　　幸　　一　議員
１５番　　　佐　　藤　　　　　直　議員　　　　　　１６番　　　清　　野　　忠　　利　議員
１７番　　　髙　　橋　　光　　男　議員　　　　　　１８番　　　細　　矢　　俊　　博　議員

◎欠席議員（なし）
◎説明のため出席した者の職氏名
土　田　正　剛
市　　　　　　長

元　木　正　史
教　　育　　長
武　田　庄　一
選挙管理委員会
委　　員　　長

斎　藤　吉　則
代表監査委員
工　藤　喜惠治
農業委員会会長

菊　池　忠　芳
消　　防　　長
間木野　多加志
副　　市　　長

石　垣　裕　之
総　務　部　長
浅野目　　　勇
市民生活部長

芦　野　耕　司
健康福祉部長
小　松　伸一郎
経　済　部　長

半　田　　　隆
建　設　部　長
兼 水 道 部 長
佐　藤　浩　之
会計管理者

高　橋　重　俊
教　育　次　長
石　垣　有　一
総合政策課長

安　達　利　也
庶　務　課　長
併選挙管理委員会
事　務　局　長
佐　藤　慎　司
財　政　課　長

牧　野　美和子
監　査　委　員
事　務　局　長
柴　田　　　昇
農 業 委 員 会
事　務　局　長





◎事務局職員出席者職氏名
梅　津　佳　之
事務局長

青　木　　　満
事務局長補佐
菅　井　美奈子
議事主査
兼議事係長

齊　藤　晋　平
主　　　　任
黒　坂　育　実
主任

井　上　正　宏
兼　務　書　記
森　谷　賢　司
兼　務　書　記





◎議　事　日　程

　議事日程第２号
　　　　　　　令和２年３月３日（火）　午前１０時　開　議

　日程第　１　　市政に対する会派代表質問
　　　　　　　　１　１４番　浅野目　幸　一（自民クラブ）
　　　　　　　　２　１１番　白　井　健　道（ひがしね創生会）
　　　　　　　　３　１２番　河　村　　　豊（政清・公明）
　　　　　　　　４　　８番　片　桐　勝　寿（ひがしね初政クラブ）
　　　　　　　　５　　５番　東海林　克　彦（新会派　令和）

　　　　（散　　　　　会）


◎本日の会議に付した事件

　議事日程第２号に同じ。
令和２年東根市議会第１回定例会会派代表質問発言通告書

番 号
質 問 者
質 問 事 項
質 問 要 旨
答 弁 者
１
自民クラブ

浅野目幸一
議　　　員
１．持続可能な発展と、持続可能な暮らしのための、気候変動対策について
１．地球温暖化防止と適応策について
気候変動の影響とリスクを踏まえ、適応策について伺う

２．地域気候変動適応計画の立案について
本市の施策に適応策をどう組み込むのか伺う
市　　　長

教　育　長
２
ひがしね創生会

白井　健道
議　　　員
１．日本の財政状況を踏まえた今後の地方自治体運営について
１．内閣府は1月17日の経済財政諮問会議において、2025年度における国と地方の基礎的財政収支は「成長実現ケース」であっても3.6兆円程度の赤字になる試算を示した。
　　このように政策的経費を税収で賄う目途が立たない一方で、国・地方の債務は増加を続けている。
　　これは、特例国債を発行し続け、更には、建設国債の償還ルールであった60年償還ルールまで適用し、多額の借換債を発行しているためであり、地方においては、臨時財政対策債による債務の累増が懸念されている。
このような状況を踏まえ以下について伺う。
（１）国、地方ともに受益と負担の明確化を避けてきた結果が、自転車操業の財政運営となり、将来世代に負担を強いる構造となっている。地方自治体として、この様な状況についてどのように考えているか。
（２）国土交通省は2012年の国土交通白書において、社会インフラについて、将来的に維持管理経費すら賄えない可能性があることを示した。このような状況を踏まえ将来に備えた基金を新たに創設すべきと考えるがいかがか。
（３）少子高齢化の影響を見越して、2021年度からの第７次行財政改革推進プランには、歳出の見直しや効率化について具体的に言及していくべきと考えるがいかがか。
（４）歳出の見直しや優先順位付けのためには、「主要な施策の成果報告書」等事業評価に資するツールの導入が有効であると考えるがいかがか。
市　　　長
３
政清・公明

河村　　豊
議　　　員
１．安心して暮らすことのできるまちづくりについて
１．新設される危機管理室について
２．西部地区における防災の拠点づくりについて
３．根本的な浸水対策、雨水幹線整備について
４．公共工事平準化の取り組みについて
市　　　長
２．行財政改革推進プランについて
１．進捗状況と検証について
２．行政文書へのUDフォント導入について
市　　　長
３．福祉環境の充実について
１．障害者グループホームの設置について
２．風疹抗体検査・予防接種クーポン券配布について
３．インフルエンザ予防接種の助成拡大について
４．子宮頸がん予防ワクチン接種について
市　　　長
４．教育環境の整備について
１．教育ICT環境の構築について
２．教育現場へのUDフォント導入について
３．スクールソーシャルワーカーの配置について
４．児童・生徒の推移予想について
教　育　長













番 号
質 問 者
質 問 事 項
質 問 要 旨
答 弁 者
４
ひがしね市政クラブ

片桐　勝寿
議　　　員
１．東根市総合戦略について
１．令和２年度は「第５次総合計画」策定の年。また、平成27年から始まった国の第１期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」は今年度末で終了し、昨年12月20日に第２期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が閣議決定され、総合戦略は次のステージへと進んでいく。本市においても、平成27年10月に第１期「東根市総合戦略」を策定しており、今後第２期の策定へと進んでいくと考える。そこで以下の点について伺う。
（１）第１期「東根市総合戦略」の検証と第２期総合戦略策定までの流れは。
（２）平成30年の本市における「重要業績評価指標(KPI)の進捗状況」より
①「産業力強化プロジェクト“安定した雇用の確保”」について
②「安心子育て夢応援プロジェクト“結婚・出産・育児の夢を現実に”」について
（３）国の第２期総合戦略の中に、新たに「多様な人材の活躍を推進する」と「新しい時代の流れを力にする」が横断的な目標として加わった。前者は「関係人口の創出」、後者においては「Society5.0に向けた未来技術の活用」「SDGsの理念に沿った持続可能なまちづくり」がキーワードと考えるが、それぞれどのように捉えているか。
市　　　長
２．安心・安全な市民生活の実現に向けて
２．昨今の急激な異常気象や、国際的問題となっている大規模感染症に対し、市民生活の安心・安全に向けた対応が急務となっている。そこで以下の点について伺う。
（１）本市の防災・減災に向けた取り組みは。
（２）新型コロナウイルスへの対応と今後の対策は。
市　　　長
５
新会派　令和

東海林克彦
議　　　員
１．東根市の持続的な発展について
１．人口減少対策における企業誘致等について
出生率が上がらない現状下、転入等による社会増を得るためには働く場が必要であり、新たな工業団地の整備と企業誘致についてどのように考えるのか。
２．国道48号の整備促進について
これまでの要望活動の積み重ねにより重要物流道路の指定を受けいよいよ整備への期待が高まる。オリンピック終了後はバイパス化への調査等を願うとしているが、どのように取り組むのか。
３．市中央部の再開発等について
旧国道と13号バイパスに挟まれた区域にはアクセス等に課題があるが、次期総合計画でどのように考えていくのか。
４．周辺部への移住促進について
特に人口減少が著しい周辺地区へ子育て世代の移住・定住を促進するため、住宅助成事業などを拡充すべきでないか。
市　　　長







　　◎開　　　　　議

○細矢俊博議長　皆さん、おはようございます。本日の会議に、欠席及び遅刻の届け出はありません。したがいまして、出席議員の数は18名で定足数に達しておりますので、これから本日の会議を開きます。
　　ここで市長より発言の申し出があり、これを許可しましたので、ご了承願います。
　　土田市長。
　　　〔土田正剛市長　登壇〕
○土田正剛市長　会派代表質問の前でありますが、私の方から特に発言を求め、議員の皆様方はじめ、市民の皆様方にご理解、ご協力をお願い申し上げるものであります。
　　本市における新型コロナウイルスに係る対応についてご説明を申し上げます。
　　中華人民共和国湖北省武漢市に端を発する新型コロナウイルスについては、既にご案内のとおりでありますが、日本も含め世界中に猛威を振るっており、日々その動向が注目されているところであります。
　　このような状況を受け、本市においては、1月10日に新型コロナウイルス対策会議を設置し、各部署における対応について情報共有を図り、今後訪れるであろう緊急事態に備えたところであります。
　　その後、２月19日、２月21日と対策会議を開催し、本市が主催するイベント等の中止を含めた検討や感染者が多発している地域への職員の出張を控えることなど、より踏み込んだ対応を指示したところであります。
　　そして、27日の夕方、安倍首相が全国の小・中学校、高等学校などへの臨時休校要請を表明したことを受け、これを国の緊急事態宣言に準ずるものと捉え、翌28日に私を本部長とする新型コロナウイルス対策本部に切り替え、小中学校の休校のほか、公共施設等の使用について協議を行い、市民の皆様の安全と安心を最優先に考え、次のように決定したところであります。
　　本市における対応状況についてでありますが、小学校は３月18日まで、中学校は３月16日まで休校とし、それぞれ卒業式については参加者の規模を縮小した上で予定どおり実施することとしております。
　　一方、市内保育施設及び学童保育所については、通常のとおり開所いたします。
　　ここで、特に小学生が中心となりますが、子どもたちの居場所づくりというものに特に意を用いていかなければいけないと改めて考えているところであります。
　　昨日、初日であったわけでありますけれども、意外と学童保育所については、登録メンバーの５割ほどになっているということは自宅にいた方が安全だという意識が非常に強いのかなと思ったところであります。しかし、昨日始まったばかりでありますので、特に昨日テレビ等でも神町地区の区長会長などがインタビューに答えておりましたけれども、学童保育所のマンパワーに対する不足というものも考えられますので、昨日、早速教育委員会に指示をし、そして本市にはスクールサポーターが18名おります。その中で14名がマンパワー不足に対処する懸念があるということで既に配置についております。
　　なお、今後の推移によっては、学童保育所が満杯になるということも予測をされます。そういうときには、小学校の教室であるとか、あるいはマンパワーとしての教員の配置であるとか、そういうことも考えていかなければいけないなということで、これも昨日教育長と話をして指示をしたところであります。
　　その折も折、昨日東根市内に関係するお２人がコロナウイルスではないかということで非常に心配をされたわけでありますけれども、その検査の結果、いずれも陰性であったということで安堵の胸をおろした次第であります。
　　また、国からの要請に基づき、確定申告等に係る対応については、４月16日まで延長することとしております。公共施設については、感染拡大防止のため、高校生以下の使用が多く見込まれる施設については３月末日まで閉鎖することとし、また、施設の貸し出しについては、濃厚接触を防ぐため、会議以外の目的での使用を不可とし、使用の際にはマスク着用やアルコール消毒の徹底等をお願いすることとなります。
　　また、本市が主催するものについては、中止を決定したほか、市内で開催予定のイベントについても中止を促したところであります。
　　なお、詳細については、市ホームページ等に掲載しており、その内容については、時点の状況の迅速な把握に努め、随時更新してまいります。
　　未だ終息が見えないこの状況は、まさに国難といっても過言ではありませんが、市議会をはじめ、市民の皆様の協力を得ながら、市を上げて取り組んでまいりますのでご理解をお願いいたします。
○細矢俊博議長　　以上で、ご了承を願います。
　　本日の会議は、議事日程第２号によって進めます。

　　◎市政に対する会派代表質問

○細矢俊博議長　日程第１　市政に対する会派代表質問を行います。
　　質問は通告順としますが、発言順番を迎えたときに議場にいない場合は、発言権の放棄とみなしますので、そのようにご了承願います。

　　◎浅野目幸一議員質問

○細矢俊博議長　はじめに、自民クラブを代表して14番浅野目幸一議員。
　　　〔14番　浅野目幸一議員　登壇〕
○14番（浅野目幸一議員）　おはようございます。自民クラブの浅野目幸一です。
　　今朝方の気温は３度、今日は穏やかな春らしい天気になりそうであります。今回の代表質問に向け、毎日の天候が気にかかる日々でございました。気候の危機といわれる今日、気候変動とそれに対する適応については、今世界中があらゆる視点で注目している課題であります。しかし、振り返ってみれば、すなわち、山形県の東根市自らの課題であります。今回はこのことに絞って質問をさせていただきます。
　　昨年は、豪雨や台風、５月からの真夏日など、異常気象と思われる現象が発生しております。温暖化が全ての原因ではないという一部の懐疑論もあるようですが、気候変動の現実は明白です。もはや、気候変動の危機への対応は緊急性を帯びております。
　　では、本市の持続的な発展と持続可能な暮らしのための気候変動対策について質問に入ります。
　　１点目、地球温暖化防止と適応策についてお伺いいたします。
　　施政方針で述べておられる気候変動に対する強靭なまちづくりゼロカーボンシティ宣言についてでございます。
　　本市でも、これまでＩＳＯ14001を取得し、地球温暖化による人間社会や自然の生態系が危機に陥らないようにするため、温室効果ガスの削減に向けた努力をしてきました。これは、すなわち緩和策といわれるものです。しかしながら、この緩和策をさらに拡大しても、気候変動の影響や一定の温暖化は避けられない状況にあることが明らかになってきました。
　　そこで、気候の変化に対して、自然の生態系や社会生活経済システムを調整することにより、温暖化の悪影響を最小限に軽減する適応策が必要となってきたのであります。国においては、一昨年６月、気候変動適応法が公布され、同年12月に施行されました。温室効果ガスの排出削減対策、すなわち緩和策と気候変動の影響による被害の回避軽減対策、すなわち適応策は、車の両輪として取り組むことが必要とされます。まずは、気候変動の本市の現状、リスクと影響はどうかお伺いいたします。
　　生活、社会、経済への影響は、多くの様々な場面であると思いますので、次の４点に絞ってお願いします。
　　１点目、こんなに積雪が少ない正月は、過去に例があったでしょうか。近年において、ゲリラ豪雨や降雹被害、降雨量や真夏日のパターンの変化、平均地温の上昇などはどうだったか。本市のデータがあればお願いいたします。
　　今年１月16日、世界気象機関ＷＭＯは、昨年の気温を史上２番目の高さと報じました。これによって温暖化現象が裏づけされた形となりました。
　　資料配付をご覧ください。出典は気象庁ホームページでございます。年平均気温の2003年から2019年までで高い方から2015年は11.9℃、2004年、2010年、2016年と昨年2019年は11.8℃、低い方で2003年は10.9℃ですから、この12年の間に平均気温が1.0℃の高低差があり、本市においても温暖化による気候変動が見られるわけです。温室効果ガスによって日本の年平均気温は1898年から2017年までの100年間に1.19℃の割合で上昇し、特に1990年代以降高温となる年が頻出しております。まずは気候に対する市長のご認識について伺います。
　　次に、山形県は、この冬、記録的な雪不足に見舞われ、観光や経済など様々な分野に影響が出ているとも報じられております。除雪作業を行う業者の経営にも影響が出ています。
　　２点目は、除排雪の稼働がないことに伴うメリット、デメリット、黒伏高原スノーパーク・ジャングルジャングルスキー場など、本市の観光、雪まつりイベント、また経済活動の停滞など産業や経済への影響はどうか伺います。
　　次に、私が気にかかるのは、市民の安全確保、健康面での影響であります。
　　昨年１年間の救急搬送者数の数は1,700人を越えて増加しております。
　　３点目は、寒暖差によるヒートショックあるいは熱中症搬送車の昨年の推移はどうだったか伺います。作業中の熱中症死亡者数が近年増加傾向にあり、特に65歳以上の高齢者の熱中症発生率は、今後各地域で増加することが見込まれていると聞いております。屋外作業などの熱中症についてもデータなどがあればお願いいたします。
　　また、農業に関しては、４点目です。降雪量の減少等が一因と考えられる農作物への影響などがあればお願いいたします。
　　問題は、温暖化に対して脆弱な果樹生産の影響をどう見るかです。ある果樹研究機構によると、果樹が温暖化の影響を大きく受ける理由は、適地適作が徹底されているからとのことです。東根市農業協同組合の佐藤代表理事組合長は、さくらんぼの生産には、冬の間しっかり雪があって寒くなることが大切で、このままではうまく実らない恐れがあると話しておられました。このように、さくらんぼの影響も心配されております。
　　また、私が最も心配するのは、市民の宝である大けやきであります。特別天然記念物に指定され大切にされておりますが、自然生態系の分野では分布適地の減少が予測されており、分布の北限の高緯度化等による気象、野生動植物、種の絶滅可能性などが危惧されているのであります。樹勢1,500年以上と推定される大けやきは、この先適地への移動は困難です。街路樹のけやきでは、秋になっても葉が落ちない現象も起きております。この際、大けやきの樹勢について教育長にお伺いいたします。
　　気候に対する適応について伺います。
　　繰り返しになりますが、適応策とは、気候変動適応法によれば、既に生じている、あるいは将来予測される気候変動の影響による被害の回避、軽減対策であります。国では、適応策を法的に位置付け、関係者が一丸となって適応策を強力に推進していくことになりました。これから先の降雨、降雪、日照りなど気象予測がとても重要になってくると私は考えます。この記録的な暖冬は予想されておりませんでした。季節外れの降雨のために、作物ができ過ぎ、大きくなり過ぎ、生産者が頭を抱える様子が全国的に報じられました。
　　果樹王国を守るための適応策について、気象災害から守るための適応について、健康を守るための適応について、以上、適応の３点については、もう少し詳しくお伺いいたします。
　　将来の気温の上昇によって、さくらんぼやりんごはどうなるのか。果樹は需給バランスで価格変動を招きやすく、長期的な視野で対策を講じることが必要と言われております。米であれば、降雨に強い品種に変えたり、作付時期を変えることなどが適応策ですが、例えば、ラフランス等は台風による落下防止なども対策として求められるのではないでしょうか。また、果樹に対する対策は、他の作物より少なくとも10年以上前からとる必要があると言われているのであります。過去の観測を上回るような短時間の強い雨が増加しております。
　　もう一度気象庁資料をご覧ください。
　　10分間もしくは１時間降水量の１位から４位までが2018年と2019年に起きております。大雨による河川の氾濫や下水道の氾濫、浸水被害を防ぐためのインフラ整備や警戒避難体制の強化をすることも適応と考えます。また、私たち一人一人が天気予報や防災アプリを確認したり、ハザードマップを確認したり、避難経路を確認したり、気象災害から身を守ることも適応と言えるでしょう。市民を気象災害から守るための適応策について伺います。
　　東京の代々木公園の蚊から発生した感染症のデング熱は記憶に古くはありません。そんな中で起きた今般の新型コロナウイルスです。現代、まさに伝染病を媒介する蚊の北上など、影響が出ております。この夏も熱くなりそうです。熱中症については水分補給を小まめにしたり、エアコンの設定温度を適度に保つことによって予防したり、虫刺されに気をつけ、一人一人が自身の健康を守ることも適応策です。本市の熱中症予防などの健康対策について伺うものです。
　　それにしても、温室効果ガスの排出量を減らす努力は続けていかなければなりません。ＣＯ２削減対策について伺います。
　　緩和策は、地球温暖化対策推進法によれば、温室効果ガスの排出を抑制することで気候変動の原因となる温室効果ガスの排出を削減する対策です。本来は、ＣＯ２を吸収するはずの森林ですが、オーストラリアで発生した大規模な森林火災は大量の煙や二酸化炭素を排出し、全てを焼き尽くして植生までも変化させてしまいます。この森林火災は、地球の未来を予言しているとの論評もありますが、しかし、2016年には、オーストラリアの地方都市で気候非常事態宣言を表明し、異常気象に備え危機感を抱いておりました。多発する山火事はそんな中で起こっている、自然の怒りの声であり、警告とも言えるのであります。この後、火災現場では待望の大雨が降ったそうです。しかし、通常であれば雨水をも吸収する植生は、森林火災のために焼失してしまい鉄砲水が落ちるなど新たな災害をもたらす恐れもあるのです。これから先もさらなる気候変動という悪循環が起こるのかもしれません。
　　２点目は、本市の地域気候変動適応計画の立案です。
　　本市の施策に適応策を組み込むことを提案いたします。自治体の地域気候変動適応計画の立案には、努力義務が課せられております。本市は、県内初のゼロカーボンシティ、カーボンゼロ宣言をいたしました。今後はＣＯ２排出の把握に着手し、再生可能エネルギーの利用拡大や省エネ活動の推進につなげたい考えといわれますが、具体的な施策について伺います。
　　ＩＰＣＣ第５次報告によると、ＣＯ２は過去80万年で前例のない水準となり、この要因は95％が人間活動であります。すなわち、市民活動がほとんどでございます。私たち一人一人がどう適応するか。私たち市民ができることは何かが問われているのだと思います。他の自治体では、非常事態と受けとめております。この気候非常事態宣言は、長崎県の壱岐市が日本ではじめて宣言し、2050年までに市内で消費するエネルギーを全て石化燃料から再エネに転換する目標を掲げました。また、長野県は、昨年12月６日に気候非常事態宣言、2050ゼロカーボンへの決意を発表しております。本年１月16日には、東北ＳＤＧｓ未来都市サミットにおいて、東松島市、郡山市、陸前高田市、仙北市、山形県飯豊町の東北５市町が既に気候非常事態宣言を行っております。本市も当然ながら危機意識を持ってのカーボンゼロ宣言だと思います。
　　次に、卒ＦＩＴ、固定価格買取制度について伺います。
　　太陽光発電による余剰電力を高値のＦＩＴ価格で売電できる期間が満了し2019年11月以降に卒ＦＩＴする家庭が出てくることについてであります。本市は、県に先駆けて補助金制度を導入してまいりました。それは住宅太陽光発電システム設置事業費補助金であります。今年度の実施状況、これまでの実績を教えてください。卒ＦＩＴで売電できなくなったらどうすればいいのかもアドバイスしていただきたいと思います。買取期間満了後の策についてお伺いするものです。
　　石炭火力に頼らない自家発電の太陽光発電は、必ずしも既存の電力系統に依存する必要のない分散型電源として利用できる強みがございます。この補助制度は、蓄電池も対象としています。今後さらに発電プラス蓄電池の自家消費型モデルとして需要を喚起し、拡大していくことも適応策の効果的な方法と考えております。
　　また、ＮＨＫの番組で、「温暖化しないエコ生活」と題したうちエコ診断が取り上げられました。環境省では、家庭部門からのＣＯ２排出量削減を進めるために、うちエコ診断事業に取り組んでおります。家庭から出るＣＯ２を年間4,480キログラム減らすことができます。本市が率先してこれまでの事業にうちエコ診断を組み込むことはできませんでしょうか。お伺いいたします。
　　私たち市民にできる適応策は、家庭をエコハウスにすることです。気候変動の問題は、国などが考えればよいと思っている人が多いと思う。しかし、国などの大きな機関が考えたところで、人間一人一人が意識していかないと解決しない。そして、この状態が続けばますます大きな災害が増えてくるだろうと地元紙サロンに寄せられた高校２年生の投稿であります。気にかかるのは、気候変動の問題が住民と関係のないところで政府と自治体との間だけで空回りしている印象を受けることであります。地域の課題を解決するには、一人一人の住民が本気にならなければなりません。このことを本気で考えようではありませんか。持続的な発展と持続可能な暮らしのための本市の気候変動対策について、施策に適応策立案をどう組み込むのかをお伺いし、代表質問といたします。
○細矢俊博議長　14番浅野目幸一議員の質問に対し、答弁を求めます。
　　土田市長。
　　　〔土田正剛市長　登壇〕
○土田正剛市長　自民クラブ浅野目幸一議員のご質問にお答えをいたします。
　　はじめに、地球温暖化防止と適応策についてであります。
　　気候変動による影響につきましては、世界的に深刻さを増しており、猛暑や豪雨災害等の異常気象は地球温暖化の傾向と一致していると言われております。
　　本市における過去10年間の気象データにおいては、局地的大雨といわれる降雨の発生割合は、この３年間における発生が５割を占め、平均気温も上昇傾向にあるなど、気候の状況に変化が見られます。温暖化の影響については個人の生活にも表れ、現に熱中症の疑いで緊急搬送された件数は近年増加しており、昨年大きな被害をもたらせた台風も地球温暖化が関係しているのではないかと考えられます。
　　温暖化の影響については、猛暑、豪雨だけに表れているわけではなく、この冬はこれまで経験のない小雪となりました。消防署敷地内で計測している最大積雪深についても、この10年間における最大値は82センチメートルでありましたが、今年度の最大値は２月11日時点で18センチメートルであり、暖冬傾向による様々な影響が心配されます。
　　地域経済への影響につきましては、建設事業者に目を向けますと、除排雪の稼働が２月末現在で３回にとどまっており、例年の３割程度の実績となっております。本市においては継続的な除排雪を実施していくため、例年の５割程度の稼働時間に当たる30時間分の機械損料及び諸経費について除排雪業者に保証する制度を既に設けているところであります。
　　また、観光面における影響については、ジャングルジャングルの雪不足による入り込み客数、ひがしね雪まつりをはじめとする冬のイベント開催、雪を見たり、触ったりすることを楽しみに来るような観光等への影響が考えられます。しかしながら、雪が少ないことを理由に中止するようなイベント等はなく、ジャングルジャングルにおいては、暖冬による小雪の影響でオープンが12月末と遅れたものの、周辺のスキー場のオープンがさらに遅れたことなどから、現在のところ昨シーズン並みの集客を得ている状況となっております。また、予約のキャンセル等さくらんぼ東根温泉の各旅館に明らかな影響は表れていない状況にあります。
　　このように、今のところ大きな影響は感じられない状況にありますが、地球規模の気象変動が地域経済に及ぼす影響は、本市においても懸念する課題の１つとなっております。
　　次に、温暖化に対し脆弱な果樹生産への影響をどう見るかについてであります。
　　議員ご指摘のとおり、温暖化は「果樹王国ひがしね」のブランドを支える農作物に影響を及ぼすものとして正面から向き合うべき大きな課題の１つだと捉えております。この課題を克服するため、県園芸試験場をはじめ、民間による農産物の品種改良が行われ、関係機関と生産者の連携による栽培技術の向上等も行われております。本市といたしましては、今後の気候変動に対して、時点での状況を的確に把握し、情報の共有化に努めるとともに、山形県や市農業協同組合をはじめとする関係機関、さらには生産者との緊密な連携を図りながら「果樹王国ひがしね」を名実ともに強化してまいりたいと考えております。
　　次に、気象災害から市民を守るための適応策についてであります。
　　今年度新たな浸水想定に基づき、洪水ハザードマップを更新し作成したところであります。災害が発生する前に行っておくべき確認事項や災害時にその地域の居住者等がとるべき避難行動や留意点について、市内全地区の区長協議会や要望のあった自主防災会、新たに浸水想定区域となった地区を対象とした説明会を昨年８月から実施しております。引き続き、地道な啓発活動等を通して、被害の防止、軽減を図ってまいります。
　　次に、健康を守るための適応策についてであります。
　　気温が高くなることで懸念される病気としましては、熱中症が挙げられます。本市においては、これまで市報等を活用し、小まめな水分や塩分の補給、日傘や防止の着用等を呼びかけ、重症の場合は速やかに救急車を要請するよう注意喚起を行っております。熱中症については、高齢者や乳幼児が重篤化しやすく十分な注意と対策が必要なことから、民生委員の見守り活動においても地域の高齢者にチラシを配布し、声がけ活動を行っているところであります。
　　次に、地域気候変動適応計画の立案についてであります。
　　地域気候変動適応計画につきましては、気候変動適応法12条に基づき、地方自治体に対し策定するよう努めるものと位置付けられており、令和４年度に策定を行う次期大けやき環境基本計画にその考え方を反映する予定としております。
　　地域気候変動適応計画については、地域の実情に応じた気候変動適応を推進するため、農林、自然災害等、分野ごとにきめ細かな施策が必要となります。関連する施策等について横断的、総合的な連携を図りながら策定してまいります。
　　本市は、地球温暖化防止対策として2050年までに二酸化炭素排出をゼロにすることを目指すゼロカーボンシティへの表明を県内自治体に先駆けて１月31日に行いました。実質ゼロとは、地域内における二酸化炭素の排出量と森林等の吸収源による除去量が均衡を保たれている状態を指しており、まず、来年度は排出量と吸収量について調査を行い、数値データの把握を予定しているところであります。
　　このゼロカーボンシティは、ご案内と思いますけれども、この2050年までの30年間にわたって排出ゼロということは、以って気温を1.5℃以内に抑えるということであります。また、本市では、平成13年度からＩＳＯ14001に関する取り組みを継続して行っており、環境先進都市を標榜する本市がこの表明を行うことで実質ゼロを目指す先進的な動きが広がることを期待し、事業者、市民とともに省エネルギー、再生可能エネルギーの普及拡大を推進させ、実現に向けた取り組みを行いたいと思っております。
　　先般、ベーリンガーインゲルハイムの本社のトップと、そして日本の山﨑社長とお二人が私を訪問しました。さすがは自然エネルギーの大国だなと思ったのは、もうゼロカーボンシティはとっくに知っておりました。取得したことに敬意を表しますと私に述べましたが、そのときに、ベーリンガーインゲルハイムは今ご承知のように原方地内に新たな造成工事を行っております。来年中には操業開始と伺っておりますけれども、あの新工場では年間2,000トンのＣＯ２の排出量を削減する環境に配慮した建設を現在行うつもりでありますという表明を伺いまして、改めて、私は敬意を表した次第であります。
　　ＩＳＯ14001を取得をしたときに、多くの市民から世界的な気候変動の中で、その東根市が取り組むことについて疑問を提する意見も大分私は聞きました。しかし、誰かがどっかで小さな運動をやり、そして、それが燎原の火のごとく世界に広まれば小さなことは大きなことに発展するのでありますということを私は真面目に答えた記憶があります。
　　改めて、この気候変動っていうのは大変重要なことだなと思っております。これが仮に平均気温が３度、４度と上がるようになれば、私は東根はバナナの産地であり、そして、さくらんぼは北海道の適地になるのではないかと本当に真剣に私は考えているのであります。
　　これについては過半、知事にお会いしたときも、山形県がこれをとるべきであるということをゼロカーボンシティの意味というものを解いたわけでありますけれども、果たしてどうなるのかわかりません。
　　いずれにしましても、青森、秋田、山形の裏日本においては、ゼロカーボンシティを宣言したのは本市１市のみであります。今年の東北市長会の春の総会のときに、私の方から各自治体に呼びかけを行いたいなと、そして環境省としては、令和３年度中に東北のいずれかでこのゼロカーボンシティにわたってのシンポジウムを、是非計画をしていただきたいというものが過半、私と環境省が面談をしたときに、そういう話でありました。
　　次に、再生可能エネルギーの今後についてであります。
　　住宅用太陽光発電システムの補助事業につきましては、環境保護の観点や地球温暖化防止の面で大きな役割を果たすものであり、本市においては、平成21年度から設置に係る費用の一部補助を開始し、昨年度からは、太陽光発電システムの設置と併せて導入する、蓄電池への補助も開始しております。
　　太陽光発電システムについては、事業開始から昨年度末までに、708基の設置に対し補助を行い、蓄電池については、12基に対し補助を行ったところであります。
　　なお、蓄電池については、昼に発電した余剰電力を蓄えることが出来ることから、固定価格買取制度による再生可能エネルギーの買取期間満了時においても、蓄電した電力を自家消費として用いることができる等、有効な手段の１つであり、蓄電池を合わせて設置する家庭も増えてきております。
　　また、固定価格買取制度の終了後においても、各電力会社において個別に余剰電力を買い取るサービスが提供されておりますので、契約期間の満了までに設置者本人が自身の判断によりプランを選択することが可能となっております。市といたしましても、このような状況について注視してまいります。
　　気候変動等の環境問題につきましては、家庭や事業所等において、二酸化炭素削減に向けた取り組みを実施できるかが重要であり、有資格者が実施するうちエコ診断については、削減意識を醸成する第一歩として意義のあるツールであると考えております。各家庭から排出される二酸化炭素の削減のための手段の１つとして、うちエコ診断も含め削減意識醸成を図る啓発活動の実施について今後検討してまいりますので、ご理解をお願いいたします。
○細矢俊博議長　次に、教育長に答弁を求めます。
　　元木教育長。
　　　〔元木正史教育長　登壇〕
○元木正史教育長　私からは、自然生態系の分野における大けやきの樹勢についてのご質問にお答えをいたします。
　　東根の大けやきにつきましては、昭和32年９月に国の特別天然記念物に指定されており、本市のシンボルとして長年親しまれ、大変貴重な文化財であることから適切に樹勢保持に努めていく必要があります。
　　これまでの樹勢保持の対応といたしましては、樹木医の指導のもと、年１回の活性剤散布や殺虫剤散布、中でもカツラマルカイガラムシ対策として、年２回の薬剤散布を行うほか、必要に応じて枯れ枝の伐採等を毎年行っております。また、樹勢を高め、樹体の安定を保つため、ワイヤーロープによる補強施工に行っており、３年に１度の張り替え工事を昨年12月に行ったところであります。
　　さらに近年は、雨不足による悪影響が心配されましたが、土壌水分を保持し、保水力を高めるため、大けやき周辺に木炭によるかん水設備を敷設し、東根小学校の協力を得て、夏場を中心にスプリンクラーによる散水等も行いながら良好な樹勢を維持しております。
　　東根の大けやきについては、樹齢1,500年以上と推定されており、極めて老齢であることからも今後の気候変動による影響をはじめ、雨不足、豪雪に対する対策等、樹体を保護し、末永く健全な樹勢を維持できるよう引き続き樹木医等の指導を受けながら状況に応じ、適切な対策を実施してまいりますのでご理解をお願いいたします。
○細矢俊博議長　14番浅野目幸一議員。
○14番（浅野目幸一議員）　ご答弁ありがとうございました。
　　４万8,000人の市民一人一人がたった１キログラムのＣＯ２を減らせば48トンというＣＯ２が減らせるわけであります。
　　また、温暖化に適応するための私たち一人一人のライフスタイルを変えることも必要になってまいります。
　　大けやき環境計画におきまして、市長は一人の百歩より100人の一歩、そして４万7,000人の一歩をと言っておられます。市民みんなでＣＯ２を減らせば30年後のカーボンゼロは全く夢ではありません。私は、このゼロカーボンシティ宣言を高く評価いたします。この上はゼロカーボンシティ宣言の啓発看板などを設置を早々にお願いして、自民クラブの代表質問といたします。
　　ありがとうございました。
○細矢俊博議長　以上で、ご了承願います。

　　◎白井健道議員質問

○細矢俊博議長　次に、ひがしね創生会を代表して、11番白井健道議員。
　　　〔11番　白井健道議員　登壇〕
○11番（白井健道議員）　11番白井健道です。ひがしね創生会を代表し、通告に従いまして、登壇にて会派代表質問をいたします。
　　テーマは、日本の財政状況を踏まえた今後の地方自治体運営についてです。
　　このテーマを選んだ理由としては、配付しております資料１、こちらで示しましたように、団塊の世代が75歳となる2025年問題、そして団塊ジュニアが65歳となり、現役世代2.5人で高齢者一人を支える2040年問題が目の前に迫っているという危機感からです。
　　2040年に向けて、医療、介護、年金など、社会保障給付費が加速度的に増加し、ますます財政的に不安な時代がすぐそこにまで迫っています。
　　2040年問題は、ただ単に団塊ジュニアが高齢者になるというだけの問題ではありません。この世代は、就職氷河期世代に分類されています。氷河期世代には、明確な定義はありませんが、1970年から1982年生まれの2,300万人強が当てはまると言われています。この中で、無職者は55万人、望まないのに非正規で働いている人が70万人いると推計されています。
　　厚生年金は、現役時の給与と引退後の年金水準が連動するのが基本ですから、無職、非正規の団塊ジュニアは放っておけば無年金、低年金になりかねず、貧困の高齢化も懸念されているためです。そして、社会保障費は現在の1.6倍の190兆円に達すると見込まれています。介護については、10.7兆円が25.8兆円、医療は39.2兆円が68.5兆円に、年金は56.7兆円が73.2兆円になるとされています。しかし、政府の見通しでは、生活保護を含むその他、これについては横ばいと予想していますが、先ほど述べた貧困の高齢化を考えれば甘い見積もりと言わざるを得ません。
　　さて、それでは、現在の日本の財政状況を見たいと思います。
　　よく取り上げられる数字としては、債務残高のＧＤＰ、国内総生産に対する比率があります。2019年における日本の債務残高の対ＧＤＰ費は、237.5％と主要先進国の中でも最悪の水準になっています。ちなみに、イタリアでも133.4％、最も低いドイツは56.9％と考えるといかに深刻な状況かがわかります。この深刻な状況に関して、大きく２つの立場の論調があります。
　　１つは楽観論です。最近特に聞かれるものは、ＭＭＴ、いわゆる現代貨幣理論です。これは、2013年以降、長期国債利回りが名目成長率を下回っている。そして今後ともその傾向が続くと予想されるから、政府が赤字を続けても債務残高の対ＧＤＰ費は一定に保てる。したがって、より積極的に財政主導すべきというものがあります。
　　また、従来からある楽観論の典型的な論調として、国の債務は国の負債であるが、それを保有している人にとっては資産であり、我が国の国債はその９割以上を日本人が保有しているため、家庭内で借金しているようなもので、将来返済される際には、日本の中でお金が右から左に動くだけだから問題ないというものです。
　　もう一つの立場は、国の債務状況の深刻さを正確に評価し、中長期的に債務ＧＤＰ費を国際的な基準に抑えていくべきというものです。
　　私自身は後者の立場をとっており、その前提で今回の代表質問を展開してまいります。
　　内閣府は、去る１月17日の経済財政諮問会議において、国と地方の基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスは成長実現ケースであっても、2025年度には3.6兆円程度の赤字になると試算を示しました。このプライマリーバランスについてはじめて言及されたのは、2002年に閣議決定された経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002で、そのときには2010年来初頭に国と地方を合わせたプライマリーバランスを黒字化させることを目指していました。
　　しかし、2010年度の閣議決定、財政運営戦略では、遅くとも2020年度までに黒字化すると、おおむね10年後退しています。そして、2018年閣議決定の経済財政運営と改革の基本方針2018では、2025年度に後退し、さらにこの度、その達成も困難となったわけです。
　　プライマリーバランスとは、税収等で国債の元利償還金以外の政策的経費を賄うことができる状態を指し、ドイツは税収で国債の利払いと元金の一部償還まで行っています。イタリアでさえ、プライマリーバランス均衡からさらに国債の利払いまで税収等で賄える途上にあるとされています。去る２月10日には、ＩＭＦが日本の経済情勢を分析する対日報告書を公表しています。それによると、プライマリーバランスの前提となる経済成長率を２％としている日本政府に対し、ＩＭＦは高齢化の影響などを加味し0.5％と試算し、2030年には公的債務の対ＧＤＰ費はさらに悪化するとしています。すなわち、今般示された成長実現ケースの見直しを提言している状況にあるわけです。
　　このような状況にも関わらず、国民、市民の間にそれに対する危機感がないのはなぜでしょうか。不思議でなりません。日本の国と地方の債務残高については、1,100兆円を超えている状態です。
　　債務の返済については、一般会計では毎年20数兆円の元利償還を行っていますが、資料２を見ていただきますと、特別会計も合わせると87兆円もの元利償還を行っています。
　　にも関わらず、一向に債務残高は減る気配がありません。これは一般会計で計上されている公債による収入、借金30数兆円であるものの過去の債務の借換債が毎年100兆円規模で発行されており、そのことが一因であります。
　　特別会計の国債費87.4兆円には、赤字で注意書きをしているとおり、国債整理基金特別会計の借換償還額122兆円は控除されています。本来、建設国債等将来世代もその恩恵にこうむる債務であれば、長期にわたって返済することは理にかなっており、それがいわゆる60年償還ルールです。
　　しかしながら、特例国債、いわゆる赤字国債については、当初返済期間は短期であったものの、1985年度から合理的な理由のないまま、いわばなし崩し的に60年償還ルールが適用されるに至ったという経緯があります。
　　60年償還ルールとは、例えば、償還期限10年の建設国債を発行した際には金額が大きいこと、また、国債により調達した資金により整備されたインフラや施設など、恩恵を受ける世代が将来長きにわたるということから60年で償還しようというものです。つまり、最初の10年では、債務金額の60分の10を返済し、その時点で残額60分の50の借換債を発行して、そして、次の10年後には60分の40の借換債を発行し、50年後には最後の60分の10の債務を償還して、最終的に０とするものです。この借換債は2005年以降100兆円規模で発行されています。そのほとんどが特例国債の借換債であり、まさに自転車操業にあるわけです。
　　借換債の推移につきましては、資料３をご覧ください。
　　斜線の部分が借換債のグラフになります。低金利のおかげで公債費が抑えられているものの、市場で国債が飽和状態になり、国債の買い手がつかなくなるという懸念や金利の上昇による国債費の増加による財政危機といった懸念は常にあるわけです。
　　国地方の債務の累増について懸念を示すと、決まってフローとストックの話を持ち出して、負債があれば同時に資産もあるはずだ、バランスシートがバランスすれば問題ないはずないだという方がいます。
　　資料４は、国のバランスシートであります。バランスしてないことは一目瞭然です。資産負債の差額は約568兆円の不足が生じています。この額は特例国債の残高555兆円とほぼ合致しています。また、多くの資産は相対する負債があることがわかります。そして、有形固定資産。例えば、道路、橋など容易に現金化できないのは自明の理かと思います。
　　そして、現金化するとして一体誰が購入するというのでしょうか。外国人が購入してもいいというのでしょうか。翻って地方の債務はどうでしょうか。過去において、自治体全体の交付税財源の不足を賄う方策として、地方交付税、譲与税特別会計において借り入れを行ってきましたが、どこの自治体の借金なのか見えにくい債務ということで批判を受け、これに変わる役割として2001年度から導入されたのが臨時財政対策債になります。
　　臨時財政対策債は、自治体全体の財源が不足した場合に、国と地方が折半し地方負担分を特別な赤字地方債として各自治体に割り当て発行されてきました。本来は地方交付税で対応すべき対象との判断から、その元利償還金は全額が実質的に将来の地方交付税額に算入される制度となっています。そのため、地方自治体の実質公債費比率や将来負担比率を算定する際に、臨時財政対策債の金額は集計対象から除外されており、結局のところ、これも実態が不透明になりがちとの批判があります。
　　また、償還資金は地方交付税の中で確保される建前になっているものの、毎年臨時財政対策債を発行しているわけですから、そもそも財源不足が解消されない限り償還財源は存在しないということになります。自治体全体で見ると、毎年の償還費全額を実質的な借換債の発行で賄い、償還財源確保を先送りしているわけで国と同様自転車操業状態にあるといえます。臨時財政対策債の先送りが2002年度以来続けられていることで、自治体全体の残高は毎年増大し、2018年度末で54兆円にまで達しています。
　　そして、臨時財政対策債の真の債務者は誰かという点においても留意が必要です。一般的には、国が地方交付税の中で償還費を手当てすると考えられていますが、地方財源不足額の当面の解消策を講じる地方財政対策が決定される際には、毎年総務大臣と財務大臣の間で覚書が交わされており、既に発行された臨時財政対策債の償還費は折半対象財源不足額に含めないという趣旨のことが明確に書かれています。これを額面どおりに解釈すれば、既に発行された臨時財政対策債の償還費を国は補てんすることはないということになるのではないでしょうか。
　　地方交付税の財源は５種類、つまり、法人税、所得税、消費税、酒税、地方法人税であることから、地方交付税制度の中で償還財源確保には、国は間接的に関与することには間違いありませんが、そこで確保できなかった場合に国が追加的な負担を行うことはないということになると指摘されているわけです。
　　つまり、臨時財政対策債の償還財源を地方交付税制度の中で確保できない場合は、結局、償還費を実質的に負担するのは地方だと考えるべきということです。
　　具体的には、例えば、臨時財政対策債の償還費を地方交付税で賄いつつも、ほかの歳出に充当することができる地方交付税の額が実質的に減額されるという可能性も指摘されています。ここでもまた元利償還のために、新たな臨時財政対策債を発行していることから、国の借換債と同様な構図であり、将来世代に負担を先送りすることで現時点での歳入を賄っているのが実情といえるでしょう。
　　昨年10月に、消費税が２度の延期を経てようやく10％となったものの、軽減税率の導入やポイント還元などにより税収効果が著しくそがれる形で実現したような状況です。受益と負担の明確化をしっかりと議論しなければならないにも関わらず、政治的な思惑から厳しい現実を冷徹に見詰め、データに基づいた将来像を冷静に分析した議論がなされず、大変残念な状態が続いていると言わざるを得ません。
　　そこで伺います。
　　国、地方ともに受益と負担の明確化を避け続けてきた結果が自転車操業の財政運営となり、将来世代に負担を強いる構造となっています。地方自治体として、このような状況についてどのように考えるのか、これが第１点目の質問となります。
　　さて、資料５をご覧ください。
　　我が国の社会資本ストックは、高度経済成長期に集中的に整備され、今後急速に老朽化することが懸念されています。今後20年間で建設後50年以上経過する施設の割合は加速度的に高くなる見込みで、一斉に老朽化するインフラを戦略的に維持管理、更新することが求められています。
　　資料５のグラフは、国土交通白書2012年からの抜粋で、国土交通省所管の道路、港湾、空港、公共賃貸住宅、下水道、都市公園、治水、海岸などの社会資本を対象に、過去の投資実績等をもとに、今後の維持管理・更新費を推計したものです。これによれば、投資総額の伸びが2010年度以降、対前年度比プラスマイナスゼロ、維持管理・更新に従来どおりの費用の支出を継続すると仮定すると2037年度の新規事業はゼロとなり、維持管理・更新費には不足額が発生すると予想されています。
　　2011年度から2060年度までの50年間に必要な更新費約190兆円のうち約30兆円、全体必要額の約16％の更新ができないと試算しています。
　　しかし、この試算はあくまで維持管理・更新に従来どおりの費用の支出を継続するということを前提としていますが、2014年の国土交通白書では、現在の技術や仕組みを前提とすれば2013年度に3.6兆円であった維持管理・更新費が10年後には約4.3兆から5.1兆、20年後には約4.6から5.5兆円程度になるとし、維持管理・更新費がさらに増大する可能性があることを示唆している点にも留意が必要です。
　　我々の生活に欠かせない社会インフラの新設更新維持管理の財源確保が困難になることが2012年の時点で国土交通省から提起されていたわけです。なお、その後、このグラフが国土交通白書に掲載されることはありません。
　　本市においては、公共施設等総合管理計画、各種インフラの長寿命化計画を策定し経費節減に努めていますが、老朽化はほぼ全国一斉に表面化していくことから、さらに踏み込んだ対応も検討していく必要があろうかと思います。
　　そこで、2018年に閣議決定された経済財政運営と基本方針2018についてで決定されている事項が重要となってくると考えます。そこでは、地方の歳出水準については、国の一般歳出取り組みと基調を合わせつつ、交付団体をはじめ、地方の安定的な財政運営に必要となる一般会計の総額について、2018年度地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保するとあります。つまり、2019年、2020年、2021年は地方交付税の規模は保証されていると理解されています。
　　よって、この時期を捉えて将来の社会インフラ整備、更新、維持管理のために基金を新たに創設すべきと考えますがいかがでしょうか。これが２点目の質問となります。
　　さて、このような状況を冷静に考えれば、将来世代のために現役世代の我々ができることは受益に見合った負担をすること、つまりは消費税、国民健康保険税、介護保険料、国民年金保険料などを通して国民が幅広く負担すること、そして、歳出削減の不断の努力を続けることが必要であると考えます。負担増についてはここで議論することではないと思いますが、今後の負担増については、将来世代のことを考えればやむを得ないということのみを述べさせていただきます。
　　さて、歳出削減についてですが、本市の第６次行財政改革推進プランを見てみますと、行政事務改善委員会、事務事業の見直しと補助金等の適正化、そして行政評価制度の推進などがうたわれていますが、具体的な取り組みについて、どのようなことを想定しているのか捉え切れないと考えます。
　　つまり、これまで述べてきたような国地方の厳しい財政状況を喫緊の課題として捉えてないように見受けます。今後、少子高齢化がますます進行し、税収自身も減少していくことが想定されるわけですから、2021年度からの第７次行財政改革推進プランには、歳出の見直しや効率化について具体的に言及していくべきと考えますがいかがでしょうか。これが３点目の質問になります。
　　次が最後の質問となります。
　　主要な施策の成果報告書についてであります。
　　資料６、７、こちらは秩父市のホームページから引用したものです。
　　これは平成28年第４回定例会の一般質問で取り上げた決算審査に資する実績値の見える化のための資料にも通じるものです。決算審査は、現在、常任委員会を単位とする分科会ごとに行われています。ご承知のとおり、議会では議会のみらい検討委員会が常任委員会の活性化の１つとして付託審査、特に予算決算の審査を通じた活性化を検討しております。委員会等での行政視察を通じ、事業評価のために資料６、７のような主要な施策の成果報告書を導入する自治体があり、効果的にそれら資料を活用している事例を見てまいりました。
　　当市において、決算審査にあたり個別の主な事業においては決算附属資料を活用しているものの、簡易な様式、内容となっています。実績値が記載されているものもいくつかありますが、それら記載がない場合には、その場で確認、説明がなされるなど、本来であればそのような時間は省略し、中身の議論、事業の評価に時間を割くべきであると考えております。
　　行政の使命として、住民の健康、福祉向上という命題があるものの、人的資源そして本日のテーマでもある財政的な資源に限りがあるので、全てのニーズに対応できないことは今や明白であり、優先順位をつけていく必要に迫られているのが実情です。その優先順位の決め方は、実績、統計に基づいた成果の検証が必要であり、市民に対しても十分な説明責任を果たせるものでなくてはなりません。もちろん、最終的には、政治的に判断ということもあろうかと思いますが、その前にしっかりと議論を重ねることが重要です。
　　昨年３月の予算特別委員会でも問題提起をしましたが、例えば、高校生までの医療費無償化では、これまでジェネリック薬品を購入していた方が、無料ということであれば高価な先発医薬品に変える。また、コンビニ診療などモラルハザードを招いていないかといったことはしっかり検証していくべきと考えます。
　　また、地域経済循環という観点から、プレミアム商品券などは地元小規模商店での買い物に限定すべきではないかであるとか、企業奨励補助金の供与に当たっては、地元金融機関から一定の融資を受けることを条件とすることを検討できないかといった視点も重要です。
　　そして、各種イベントについて、波及効果の測定は十分なのかといったことは今後しっかりと検証していくべきと思います。つまり、事業の客観的な評価、定量的な評価、エビデンスに基づいた政策形成、そして歳出の見直しや優先順位づけのため充実した決算審査とその結果の予算への反映のためにも、主要な施策の成果報告書等事業評価に資するツールの導入が有効であると考えますが、いかがでしょうか。
　　以上４点をお伺いして、ひがしね創生会の代表質問とさせていただきます。
○細矢俊博議長　11番白井健道議員の質問に対し、答弁を求めます。
　　土田市長。
　　　〔土田正剛市長　登壇〕
○土田正剛市長　ひがしね創生会、白井健道議員の日本の財政状況を踏まえた今後の地方自治体運営についてのご質問にお答えをいたします。
　　はじめに、将来世代に負担を強いる行動となっている状況について、どのように考えているのかについてであります。
　　市の財政運営における歳入につきましては、市民税を主体とした自主財源のほか、地方交付税や国、県の補助金、そして市債等により構成されております。
　　市債については、財政上における収支の年間調整のほか、長期にわたる行政サービスに対し、住民負担の世代間の公平を確保するための調整の役割を果たしております。この市債の１つに臨時財政対策債があるわけであります。
　　議員ご指摘の臨時財政対策債については、国から地方自治体へ交付される地方交付税の原資が不足する場合、地方財政法第５条の特例として地方自治体が発行することができる地方交付税の代替という性質のものであり、後年度において、その償還額の全額が普通交付税の基準財政需要額に算入されるものであります。
　　本市における近年の借り入れ実績については国の地方財政対策に比例して減少傾向にあります。
　　しかしながら、地方交付税のない起債の借り入れ抑制や、高利率の残債の積極的な繰り上げ償還等に努めてきた結果、いわゆる建設債の残高については減少傾向にある一方で、毎年多額の借り入れを実行している臨時財政対策債の残高については増加傾向にあり、総じて起債残高全体に占める臨時財政対策債の割合が高まっているのが現状であります。
　　このような中、地方自治体における元利償還費の水準を示す実質公債費比率や将来負担すべき実質的な負債の水準を示す将来負担比率について、本市の数値は常に国が示す基準を大きく下回り、健全な数値で推移しております。今後とも国の補助制度や地方債制度等、本市に有利な財政支援を最大限に活用しながら、将来にわたって持続可能な健全財政を運営すべく努めてまいります。
　　次に、将来に備えた社会インフラ整備、更新、維持管理のための基金の創設についてであります。本市には、現在13の基金があり、このうち社会インフラ整備に関係する基金としましては、東根市立小中学校建設基金と東根市公共文化施設整備基金があります。これまで整備を行ってきた小中学校や公共文化施設につきましては、当該基金を活用してまいりましたが、それ以外の道路等の社会インフラの整備については国からの交付金等を活用しながら財源を確保しているため、特に基金を設けておりません。
　　社会インフラ整備等については、これまで同様、国の交付金等を活用しながら行ってまいりたいと考えておりますが、今後社会インフラにおいて事業費全体における維持管理費の比重がますます高まることが予見され、本市においても維持管理費の増大に留意した財政運営が必要であると考えております。
　　議員ご質問の社会インフラ整備、更新、維持管理のための基金の創設につきましては、国の交付金の状況や本市の財政状況、他自治体の基金設置の状況等を勘案して、設置の可否について研究してまいりたいと考えております。
　　次に、第７次行財政改革推進プランにおいて、歳出の見直しや効率化について具体的に言及していくべきと考えるがいかがかについてであります。
　　全国的に人口減少社会や少子高齢化等が大きな課題となる中、本市は県内で唯一人口増加が続いており、選ばれるまちとして発展を続けてまいりました。これまで進めてきた都市基盤の整備や他自治体に先駆けて取り組んだ子育て支援、教育によるまちづくり等の各種施策が多くの方に指示されてきた結果であると捉えております。
　　こうした各種施策を展開しながらも持続可能な市政運営を進めていくためには安定した強固な財政基盤の確立が何よりも重要になってまいります。行財政改革については、財政状況が厳しくなってから始めるものではなく、不断の努力が肝要であります。
　　私は、市長就任以来職員定数の見直しや窓口や保育所の民間委託、各種事業へのＰＦＩの導入をはじめ、継続した改革に取り組んできたことはご案内のとおりであります。こうした取り組みにより、本市においては先駆的な各施策を展開し、新たな行政需要にも積極的に対応できたことから、選ばれるまちへと発展を遂げてまいりました。
　　このような状況においても安定した財政基盤を確保しており、その結果として各種財政指標にも表れているものと自負しております。
　　第６次行財政改革推進プランについては、民営化や民間委託の推進、定員管理の適正化、給与等の適正化、事務事業の見直しと補助金の適正化等歳出の適正化に加え、新たな行政ニーズに答えることを柱として取り組んでいるところであり、第７次行財政改革推進プランにおいても歳出削減を基本的な考えとしながらも市民サービスの向上を目指して、その位置付けや方向性等について検討してまいります。
　　次に、事業評価に資するツールの導入が有効であると考えるがいかがかについてであります。
　　この度、議員より歳出の見直しに向けた様々なご提言をいただきましたが、高校生医療費無償化における適正実施に向けた啓発や、マラソン大会において実施した経済波及効果の分析結果を他イベントの検証に活用するなど、改善すべき点について研究し、より効果の高い事業になるよう検討していくことも必要であると考えております。
　　現在、振興実施計画を策定するにあたり、各事業の妥当性や有効性、効率性についての評価を担当課において行い、その評価内容に基づいて必要とされる事業を選定するなど歳出の見直しに向けた取り組みを進めておりますが、議員ご指摘の内容等も参考にしながら、より精度の高いものとなるよう努めてまいります。
　　なお、検証等の手法につきましては、ご提案いただいた成果報告書の導入も含め、様々な手法が考えられますが、社会情勢や市民ニーズの変化等を踏まえ、その必要性や効果的な事業展開等について、多角的視点から検証し改革を推進すべく、より効果的な手法について研究してまいりますので、ご理解をお願いいたします。
○細矢俊博議長　11番白井健道議員。
○11番（白井健道議員）　答弁ありがとうございます。
　　特に、維持管理につきまして、基金のこれまでないということで研究していただけるということで、是非、よろしくお願いしたいと思います。
　　合わせて、この分野については人材不足ということで、人材育成も急務かと思いますので合わせてご検討いただければと思います。
　　今回、2040年問題ということで、原稿書きなどをしているときに、20年先って遠いようなつもりでも今から20年前振り返ると2000年ということで、あっという間、今から振り返るとあっという間だという感じがします。なので、この2040年問題に向けて非常に厳しい状況が想定されますので、東根市が厳しいということでこの質問を設定したわけではありませんので、将来世代に負の遺産を残さないために今を生きる我々一人一人が何をなすべきかということでテーマを設定した次第です。
　　この将来世代につけを回すということは、経済学者では財政的児童虐待などという、ちょっと強い言葉を使っておっしゃられる方もいますが、昨年亡くなられたアメリカの行政管理予算局長でありＦＲＢの副議長もされたアリス・リブリンさんという方が、赤字を出していけない本当の理由は、「自分の子どもや孫あるいはそれが誰であれ、未来の納税者に私たちが今やりたいことの請求書を回すのが公正ではないからです。」と言っています。現在の人口構成でさえ、このような財政状況にあるわけですから、2025年問題、2040年問題が顕在化するこれからの20年は相当な覚悟が必要となるでしょう。三方よしとはいかずに、三方一両損になることも覚悟しなくてはならないでしょう。一人一人が現状を正しく理解し、理性的に行動し、とにかく社会保障費の増大を防ぐべく、健康に留意していくことが求められるのがこれからの20年かと思います。
　　一方、必要以上に悲観的になる必要もないと考えています。将来に有効だと感じられれば思い切った投資も必要かと思います。市長が常々力を入れられている教育によるまちづくり、これは大変重要なことだと思います。
　　それから、現在活躍されている農業者への支援はもちろん、農業の担い手不足への対応、例えば、地域おこし協力隊のさらなる導入、定年退職者の就農支援、障がい者と農業の連携である農福連携の推進、スマート農業への支援、以前より問題提起をいたしておりましたがエネルギーの地産地消への取り組み、また、関係人口拡大という観点では、東根市の豊かな自然、景観を生かした観光スポットの整備も考えられます。月山や朝日連峰を見渡せる田園地帯に、昨今はやりましたグランピングの施設などを整備したり、あるいは、鳥獣被害に苦しむ東部地域においては、イノシシの肉などを使ったジビエ料理や東根産ブドウでつくったワインを楽しめるレストラン、こういったものを併設した狩猟センター、最近猟友会の高齢化現象も深刻になっておりますので、狩猟センターのようなものの設置、こういったものも鳥獣被害対策にも資すると思います。
　　また、東京圏では、今後介護を必要とする高齢者が急増することから施設が不足することに加え、人材不足が生じ、賃金の高い東京にさらに多くの若者を奪われるということが予想されています。したがって、地方にあっては、サービス付高齢者向け住宅の整備を行い、高齢者の移住促進と介護サービスを支える若者の雇用拡大、給与面あるいは福利厚生面での優遇措置などをセットにした若者の雇用拡大による移住なども有効な施策であると考えます。
　　得てして、我々議員は何とか市民のお役に立ちたいと頼まれれば、断れない立場にあります。将来世代のことを真剣に考え、また優先順位は何なのかということを考えていかなければいけないと改めて思った次第です。これからの厳しい20年を市民、行政、議会がワンチームとなってチャレンジしていきたいと思います。これで、ひがしね創生会の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○細矢俊博議長　以上でご了承願います。
　　会議の途中ですが、ここで午後１時まで休憩します。

　　　午前１１時３１分　休　憩

　　　午後　１時００分　開　議

○細矢俊博議長　午前に引き続き、会議を開きます。会派代表質問を続けます。

　　◎河村　豊議員質問

○細矢俊博議長　政清・公明を代表して、12番河村　豊議員。
　　　〔12番　河村　豊議員　登壇〕
○12番（河村　豊議員）　それでは、議長の許可を得ましたので、政清・公明を代表して、令和２年度施政方針に沿って質問をさせていただきます。今定例会は令和元年度補正予算案、令和２年度予算案をはじめ、重要案件の審議を行います。東根市民から付託を受けた責任を自覚し、議論を重ね、しっかりと審査をしてまいります。
　　新年度は、国の防災・減災国土強靭化のための３カ年緊急対策が最終年度を迎えます。本市でもそれらを踏まえた新年度予算案であると考えます。しかしながら、防災・減災対策は、３年で終わるものではありません。インフラの老朽化対策も含めた令和３年度以降の緊急対策の拡充と継続も大変重要となります。
　　昨年の台風災害では、本市においても風水害特有の様々な課題や教訓が明らかとなりました。これらを徹底して検証し、今後の気候変動の影響による豪雨の増加などを踏まえたハード・ソフト一体の防災対策を総動員して進めていかなければなりません。
　　河道掘削や堤防強化、浸水想定区域やハザードマップの更新、調整池の整備や既設ダムの機能強化、活用、市街地での内水反乱対策など、総合的な治水対策をどのように進めていくのかなど、自治体、気象台、河川事務所などの関係者が連携して、河川、気象情報の把握、発信、危険度分布の普及、避難情報の発令、住民避難につながる伝達なども一層の対策が必要であります。
　　さらには、自然災害だけではなく、今議会全員で対策をしている感染症の拡大防止等も含めて、市民が安心して暮らすことのできるまちづくりのための危機管理、そしてタイムリーな情報発信がこれまで以上に重要になっております。そこで、新年度から新設される本市の危機管理室について、その人員体制、想定される対応課題についてお伺いをいたします。
　　次に、昨年９月に東根市洪水ハザードマップが更新されました。最上川流域の２日間総雨量が295ミリを超えた場合という前提で、河川が氾濫した際に、浸水が想定される区域がこれまでよりも拡大されました。
　　特に、これまで指定緊急避難場所として周知されていた小田島小学校が浸水地域になってしまった小田島地区の皆さんは大変に驚かれ、さらには指定緊急避難場所が中央運動公園体育館に変更になったことで、物理的、距離的な不安が一気に高まりました。
　　昨年10月に小田島公民館で開催された市長のふれあい座談会の際には、そのご心配を直接市長に訴えかける方もおられました。そのようなお声を受けて、土田市長は西部地区に小学校、公民館にかわる防災拠点の整備を考えなければいけないと答えていただきました。
　　環境省は太陽光発電などを備えた次世代型の省エネ建物、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル、ＺＥＢに蓄電池を組み合わせ、防災拠点などとして整備する事業をスタートさせております。地球温暖化防止と防災対策を同時に進めるのがポイントであります。この度、令和元年度補正予算で、災害発生時に活動拠点となる公共性の高い業務用施設、いわゆる市役所、公民館、学校などであります。土曜日、自然公園内の業務用施設、宿舎等において、災害時のエネルギー自立化に資する再生可能エネルギー設備、未利用エネルギー活用設備及びそれらの附帯設備、蓄電池等を導入することで、停電時にも必要なエネルギーを供給できる機能を強化したＺＥＢに対して、支援するということで、10億円が計上されております。先日、市長が宣言されたゼロカーボンシティの実現にも大きく寄与すると考えております。これらを踏まえて小田島地区の皆さんが心待ちにする西部地区における防災拠点の役割、計画規模、計画期間などについて市長のご所見をお伺いいたします。
　　次に、雨水による浸水地域の把握と対策についてお伺いをいたします。
　　近年の予測が難しい局地的大雨で、市街地での道路冠水や処理し切れなくなった側溝があふれ、宅地に流れ込むなどの被害が発生をしております。これは、東根地区、神町地区また西部地区でも発生をしている事象であります。私自身も大雨が降るたびに現場に出かけますが、道路側溝の末流の整備や雨水幹線整備等、根本的な浸水対策を早急に進める必要があると考える箇所がいくつも見られます。当面の対応も含めて、これらの対策についてお伺いをいたします。
　　次に、公共工事平準化の取り組みについてお伺いをいたします。
　　近年、大規模な震災、水害、または風害と想定を超える自然災害が頻発をしております。これらの自然災害に対して、住民の安全を確保し、被害を最小限に食いとめるためには、地域の建設土木事業者の協力が必要不可欠であります。少子高齢化、人口減少社会において、地域の人材確保が年々難しくなっている中で、建設業界の活性化による担い手確保のためには、公共工事の平準化が大変重要であると考えます。公共工事の平準化により、地元の労働者、技術者、技能者等は年間を通して安定的に仕事ができ、計画的な休日取得なども可能になります。また、事業者の機材の稼働率向上により、重機等の保有も促進され、地域の建設事業者の災害への即応能力も向上します。さらに、行政にとっても発注職員等の事務作業が一時期に集中することを回避することができます。
　　そこで、地域を守る建設土木工事の担い手を育てるという意味から、公共工事の平準化についてお伺いをいたします。また、公共工事の品質確保を図る上でも重要であり、公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる改正品確法においても、工事完成時期の年度末への集中を避けるため、発注、施工時期等の平準化に努めることとされております。
　　発注施工時期等の平準化に当たっては、債務負担行為の積極的な活用、発注見通しの統合、公表、余裕期間の設定、適切な工期設定等により、発注時期及び工期末が一時期に集中しないように年間を通じた分散化を図る必要があります。
　　そこで、施工時期等の平準化も踏まえた債務負担行為の活用、ゼロ市債の適切な活用、余裕期間制度の活用等による工事着手時期の柔軟な運用、適切な工期設定を行った上での繰り越し制度の適切な活用、設計、積算を前年度までに完了させることによる早期発注、計画的な事業の進捗管理と工事の計画的な発注について、お伺いをいたします。
　　次に、行財政改革推進プランについてお伺いをいたします。
　　本市における、行財政改革の取り組み当初は、効率的な行財政運営に主眼を置き、様々な取り組みを進め、第４次では、行財政改革大綱とともに集中改革プランを策定し、中長期的な財政の見直しと民間経営の観点を取り入れた抜本的な改革を推進してまいりました。
　　さらに東根市第５次行財政改革推進プランでは、５カ年を計画期間として、それまでの行政の効率化等によるコスト削減に市民サービスの向上を新たな視点として加え、行財政改革大綱と集中改革プランを一体化した行財政改革推進プランを策定し、ＰＦＩ手法による公益文化施設整備や、ともに築く地域未来創造事業の創設等大きな成果を上げております。
　　新年度は第６次行財政改革推進プランの計画期間の最終年になります。その検証が進められると考えますが、現在の行財政改革の具体的な取組項目、進捗状況や検証状況についてお伺いをいたします。
　　次に、電子行政の推進についてお伺いをいたします。
　　行政分野へのＩＣＴの活用とこれに合わせた業務等の見直しにより、行政の合理化、効率化及び透明性の向上や市民の利便性の向上を図ることを目的としております。つまり、行政のＩＣＴ活用は、市役所の職員が行う日常の業務をいかにオンライン化していくか、ペーパーレス化していくかにもあると考えます。
　　そして、もう一方は、市民が行う行政手続をいかにオンライン化していくか、そこには日常的にＩＣＴを活用する環境にない方々との格差をどう埋めていくかが必要だと考えます。オンライン利用を促進していくためには、オンライン利用が進まない要因を排除するとともに、市民にとってのメリットを拡大していくことが必要であり、市役所においては行政運営上支障のない添付書類を独自に求めないなど、現場の実情等を踏まえた対策を実施していくことが求められます。
　　議会にもタブレット端末を導入していただき、議員の仕事の仕方が大きく変化し、利便性は飛躍的に向上いたしました。特に、ペーパーレス化は、相当な割合で進みましたが、議員や執行部の意識改革がさらに進めば、職員の働き方改革や議員から市民への開かれた議会の実現はますます進むと考えております。さらなる行政分野へのＩＣＴ活用、電子行政の推進についてお伺いをいたします。
　　次に、市税納付手数料支払いのキャッシュレス化についてお伺いをいたします。
　　市がキャッシュレス化に取り組むことで、様々な効果が期待をできます。
　　まずは、市民の利便性向上であります。電子行政の推進と合わせて、これまで現金で支払っていた税金や手数料がキャッシュレス化をされることで、より手続きが簡単になります。手続きが簡略化されることで、窓口対応などの人員を削減できれば、人対人でしか対応することができない業務に関わる人員を厚くすることが可能であります。市民の利便性向上と合わせて、行政側もコストの重点配分をすることができます。結果的に市民の満足度も高まると考えます。
　　市の取り組みでキャッシュレスに対するセキュリティ面での不安を払拭し、安全で信頼できる決済方法であると認知度を高めることで、民間も含めたキャッシュレス決済の促進にもつながります。
　　経済産業省は消費税率引き上げに伴う需要平準化対策と事業者、消費者双方のキャッシュレス化を推進するために、昨年10月から今年６月までの９か月間、中小・小規模事業者によるクレジットカード、デビットカード、電子マネー、ＱＲコードなどのキャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援しております。キャッシュレスポイント還元終了後の７月からはマイナポイントの予約が始まります。総務省はマイナンバーカードを取得して、マイナポイントを予約することによって、キャッシュレスでチャージ、または買い物をするとマイナポイント25％、上限5,000円でありますが、これをもらえる事業をスタートします。
　　先月からマイナンバーカードを利用してコンビニなどで住民票などの各種証明書類が取得できるコンビニ交付サービスが当市でも始まりました。これらの手数料支払いもキャッシュレス化することで、マイナンバーカードの取得を呼びかけたり、取得したマイナポイントを納税や手数料支払いに活用していただくことで、市民サービスはさらに向上すると考えます。市税納付、手数料支払いのキャッシュレス化推進についてお伺いをいたします。
　　次に、質の高い公共サービス提供を支える人材の育成についてお伺いをいたします。
　　今後、避けて通ることのできない人口減少や少子高齢化、地域の社会構造の変化などにより、当市の課題や有り様は多様化しております。それを支える職員の果たす役割と責任は、ますます大きくなっております。災害に強い地域づくり、医療・福祉の充実強化、地域経済の活性化などの諸課題に的確に対応し、地域を支える職員の今以上の育成が大変重要であります。市民との接点を大切にし、市民目線で質の高い行政サービスを提供できる人材育成の取り組みについてお伺いをいたします。
　　次に、行政文書へのＵＤフォント導入について、お伺いいたします。
　　ＵＤ、ユニバーサルデザインとは、できるだけ多くの人が利用可能であるようなデザインを基本コンセプトにしたデザインで、人が生活する上で使いやすさや見やすさといった細かい部分にも配慮、工夫をしたデザインを指します。誰にとっても見やすく、読みやすいユニバーサルデザインフォント、ＵＤフォントが近年数多く開発されております。高齢者や障がい者、外国人の方などにも快適に正確な情報伝達が可能になる文字を行政関連の案内表示や看板、手続用紙、行政サービスを説明するためのパンフレットやチラシに積極的に使用していくことで、人に優しい行政サービスにつながると思いますが考えをお伺いいたします。
　　次に、福祉環境の充実についてお伺いをいたします。
　　当市では、昨年６月に東根市障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例を施行いたしました。全ての市民が障害の有無に関わらず、お互いに人格と個性を尊重し合いながら、ともに安心して暮らすことのできる社会を目指して、市民、事業者の皆さんとともに取り組みを進めております。障がいのある人が日常生活上の介護や支援を受けながら、共同生活を営む住居がグループホームで、そこで暮らす人に対し、入浴、食事などの介護や生活相談、その他の日常生活上の支援を提供するサービスは共同生活援助と呼ばれ、障害者総合支援法が定める障害福祉サービスの１つであります。この共同生活援助のことを通称としてグループホームと呼びます。障がい者が地域で共同生活を送ることができるグループホームを市内に設置することをこれまでも提案・要望してまいりましたが、未だ実現しておりません。親の高齢化に伴い、早急な整備が望まれます。障がい者グループホームの設置をお伺いし、重ねて要望をいたします。
　　次に、風疹抗体検査・予防接種クーポン券配布についてお伺いをいたします。
　　風疹は、成人がかかると症状が重くなることがあり、妊娠初期の妊婦に感染させてしまうと、生まれてくる赤ちゃんの目や耳、心臓に障害が起きることがあります。昭和37年度から昭和53年度生まれの男性には、過去に公的に予防接種が行われていないため、自分が風疹にかかり、家族や周囲の人たちに広げてしまう恐れがあります。この年代の男性が、これから抗体検査を受け、必要な予防接種を受けることで、免疫を持つ人が増え、風疹の流行はなくなると言われております。この世代とこれから生まれてくる世代の子どもを守るために、クーポン券を配布して、風疹抗体検査と予防接種を受けていただいております。この抗体検査の受検率や予防接種率について、また今後の取り組みについてお伺いをいたします。
　　次に、インフルエンザ予防接種の助成拡大についてお伺いをいたします。
　　当市では、インフルエンザにかかると重症化しやすい高齢者に対して予防接種の助成制度を行っており、今年度からは子育て応援新５つ星事業の中で、１歳児から年長児の未就学児についても同じく重症化しやすいことから、予防接種の接種費用の一部を助成しております。それらの考え方に合わせ、子育て応援と受験生の大事な時期の罹患防止、感染拡大を防ぐ意味からも、中学３年生、高校３年生などのインフルエンザ予防接種の接種費用助成を提案するとともに、今年度の状況をお伺いいたします。
　　次に、子宮頸がん予防ワクチン接種についてお伺いをいたします。
　　先月、北海道大学医学研究院、シャロンハンリー特任講師の子宮頸がん予防ＨＰＶワクチンについての研究発表がプレスリリースされました。ＨＰＶワクチンの積極的勧奨中止で、１万人超の死亡と予想、2020年中に接種率を70％まで回復できれば、80％の命を救える可能性というものでありました。
　　この研究グループは、日本での子宮頸がん予防ＨＰＶワクチンの積極的勧奨の中止による影響を定量化し、ワクチンの積極的勧奨の中止を行わなかった場合に、子宮頸がんへの罹患を防ぐことができたと予想できる患者数と、そのために失われた命について具体的な数字を推定しました。
　　現在は2013年から2019年の間の積極的勧奨の中止により、接種率が１％未満となっており、接種率が約70％に維持された場合と比較すると、1994年から2007年の間に生まれた女性では、一生涯のうちに２万4,600人から２万7,300人が超過罹患し、5,000人から5,700人が超過死亡すると予測をしております。また、これからの50年間で合わせて５万5,800人から６万3,700人が罹患し、9,300人から１万800人が死亡すると推定をしております。
　　積極的勧奨の中止の長期化で、積極的勧奨が再開されずに、接種率が現在と同じ１％未満であれば、現在12歳の女性だけにおいても、一生涯のうちに3,400人から3,800人が子宮頸がんとなり、700人から800人が死亡すると推定されております。
　　一方、直ちに積極的勧奨が開始され、９価ワクチンの承認がなされ、現在は２価と４価が承認をされておりますが、12歳から20歳の女性の接種率を今年中、2020年中に50％から70％に回復できた場合、子宮頸がんの超過的死亡数の80％の命を救うことができると推定をしております。
　　しかし、ＨＰＶワクチンの接種率が回復したとしても、2095年までに検診率も上昇しない限り、日本ではＷＨＯが目指している子宮頸がんの公衆衛生問題としての根絶、10万人あたり４人以下を達成することは不可能であると推定をしております。
　　また、ＨＰＶワクチン接種の安全性を裏づける科学的証拠にも関わらず、日本政府は６年以上にわたって、積極的接種勧奨の差し控えを続けている。これらの科学的証拠を検討し、積極的接種勧奨をできるだけ早く再開することを願っていると言っております。
　　また、日本産婦人科学会が厚生労働省に対し、国民が不安に思うＨＰＶワクチン接種後の多様な症状は、必ずしもＨＰＶワクチン接種との因果関係は認められておりません。また、ＨＰＶワクチン接種の有無に関わらず、多様な症状に対する診療体制が構築され、安心して接種できる環境が整っております。積極的勧奨の再開は、一刻の猶予も許さない状況にありますとの要望書を提出いたしました。
　　これらのことからも、唯一予防することができるがんである子宮頸がんから、市民の命を守るためにも、子宮頸がん予防ＨＰＶワクチン接種と検診の積極的勧奨を要望し、その所見をお伺いいたします。
　　次に、教育環境の整備について教育長にお伺いをいたします。
　　子どもたち一人一人を誰も取り残すことのない教育を推進し、子育て安心社会を実現するために、ＩＣＴ環境の構築と教員のＩＣＴ教育を求めます。また、特別な支援を必要とするなどの多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、子ども一人一人に応じた教育を行うためには、子どもたちが１人１台のパソコンやタブレット端末を持つ教育環境が必要であります。
　　令和元年度補正予算において、児童・生徒向けに１人１台のパソコンやタブレット端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するためのＧＩＧＡスクール構想実現に必要な費用が確保されました。社会のあらゆる場所でＩＣＴの活用が日常のものとなっている中、子どもたちの可能性を広げる場所である学校でも１人１台はあたり前となっております。一人一人の能力や適性に応じて個別最適化された学びを実現しなければなりません。
　　また、特別な支援を必要とする子どもたちが様々な障害に応じて、ＩＣＴを活用することで勉強や生活をしていく上での困難を改善、克服することができます。例えば、目が見えなかったり、ひずんで見えたりする子どもは読み上げ機能や拡大機能のついたタブレット端末や、学習者用のデジタル教科書を使用することで、皆と同じように学ぶことがかないます。また、耳が聞こえにくい子どもは、教師や周りの子どもの発音、音声認識技術を用いて文字に変換することで、不自由なく授業に参加できます。近年増加している外国にルーツを持つ子どもたちへのきめ細やかな指導を行う際には、多言語翻訳システムを使うことで、子どもや保護者との意思疎通もスムーズになり、また、遠隔教育により、日本語指導教室のある学校と教室のない学校をつなぐなど、日本語指導の時間をより多く確保できます。東根市が多文化共生社会を目指すためにも、教育現場のＩＣＴ環境整備が必要であります。全ての子どもたちのために、この機会を絶対に逃さず、補正予算を積極的に活用し、ＩＣＴ環境の格差を解消することを要望いたします。
　　次に、教育現場へのＵＤフォント導入についてお伺いをいたします。
　　前段の質問でも取り上げました、わかりやすさ、読みやすさをコンセプトに開発されたＵＤフォントの教育現場への導入、活用することで、ディスレクシア、いわゆる学習障害の一種で、知的能力及び一般的な理解能力などに特に異常がないにも関わらず、文字の読み書き学習に著しい困難を抱える障害を持つ子どもや、視覚認知の弱さにより、文字の読み書きが苦手な子ども、特別な配慮、教育的支援が必要とされる子どもに対して、その配慮として書体をより読みやすいものに変えることで、学習環境を整えることができます。その取り組みについてお伺いをいたします。
　　次に、スクールソーシャルワーカーの配置についてお伺いをいたします。
　　昨年12月に「子どもの暮らしを支えるスクールソーシャルワーカー－関係機関や地域社会との協働のあり方を考える－」という東北公益文科大学大学院主催のシンポジウムに参加し、勉強してまいりました。文部科学省は、2020年度は全国に約１万ある全中学校区にスクールソーシャルワーカーを配置する施策の方向性を示しております。貧困対策、虐待防止対策、いじめ、不登校対策のためなど、１中学校区に対し、週１回３時間を想定しているということであります。
　　また、山形県ＳＳＷ活用事業のスクールソーシャルワーカー配置の主な目的は、いじめや不登校を課題とする小学校にスクールソーシャルワーカーを派遣し、児童の状況や学校、地域の実態を踏まえた支援を行うことができるようにする。県内４教育事務所に設置しているいじめ解決支援チームにエリアスクールソーシャルワーカーを構成員として含め、いじめ未然防止に係る活動、いじめ重大事態発生時の対応を行うことができるようにする。県内の市町村にスクールソーシャルワークコーディネーターを派遣し、問題を抱える児童・生徒が置かれた環境への働きかけや、関係機関とのネットワークの構築等の支援を行うことができるようにするということであります。
　　しかしながら、現状のスクールソーシャルワーカーの運用には、次のような課題があるとのことでありました。１人で対応することの学校数、対応件数、移動距離の限界、少ない活動時間による学校との信頼関係、継続支援、関係機関との連携などの限界、問題対応への参画が困難、評価指標が乏しい、運用周知が不十分など、私自身が問題を抱える小学生や中学生の支援をする中で感じてきたそのものであります。
　　そこで、現在の東根市におけるスクールソーシャルワーカーの配置状況、子どもたちへの対応、活動についてお伺いをいたします。
　　次に、児童・生徒の推移予想についてお伺いをいたします。
　　人口が増え続けている当市においても、少子高齢化の到来は待ったなしであります。しかしながら、そのような状況下においても、市中心部の小学校、中学校においては長く仮設校舎が使用されております。これらの学区内においては、引き続き大型の宅地開発が行われており、保護者からは新たな教室の整備を望む声が上がっております。今後の児童・生徒数の推移予測と校舎増築の計画についてお伺いをいたします。
　　最後に、学校施設の歩車分離についてお伺いをいたします。
　　これまでも質問し、要望をしてまいりましたが、各小中学校の校門付近で登校してくる児童・生徒と通勤してきた先生や送迎の保護者の車両が接近し、大変危険な場面があります。比較的新しく建てられた学校施設では、児童・生徒たちが登校する校門から車両は出入りができなくなっており、危険回避がなされております。各小中学校とも、完全な歩車分離ができる構造に変更していくことを引き続き強く要望するものであります。
　　以上で、登壇での質問といたします。
○細矢俊博議長　12番河村　豊議員の質問に対し答弁を求めます。
　　土田市長。
　　　〔土田正剛市長　登壇〕
○土田正剛市長　政清・公明、河村　豊議員の安心して暮らすことのできるまちづくりについてのご質問にお答えをいたします。
　　はじめに、新設される危機管理室についてであります。
　　近年、大規模な自然災害等、多種多様な危機が顕在化し、新型感染症等の新たな危機も懸念されることから、防災及び危機管理業務の重要性は増してきているものと考えております。
　　現在の危機管理業務については、総務部庶務課において危機管理統計係が担っておりますが、さらなる市民の安全と安心を確保することを目的に、危機管理部門を分離し、令和２年度から総務部に危機管理室を新設することとしております。
　　危機管理室には、危機管理係を置き、引き続き防災対策及び災害対応、国民保護等の危機管理業務を行うこととなりますが、大規模な自然災害や感染症が発生した場合には、情報の一元化、集約化を図り、災害等の様々な事案に対し、迅速かつ適切な対応する、より実効性のある組織体制にしてまいります。
　　また、自助・共助の観点から地域防災の中心的な役割を担う自主防災会に対する支援として、防災対策の活用に必要な資機材の購入及び防災会を指導する防災士を養成する研修会の費用に対して、新たに補助等を行うこととしており、市民と一体となった災害に強いまちづくりを推進し、市全体の防災力の向上と強化を図ってまいります。
　　次に、西部地区における防災の拠点づくりについてであります。
　　今年度見直しを行った洪水ハザードマップにおいて、最上川が氾濫した場合や市内を流れる白水川、村山野川、乱川の３河川が増水した場合には、西部地区のほとんどが浸水区域となる想定が示されました。特に小田島地区の指定避難所が、全て浸水区域に存在することとなるため、多くの地域の皆様より心配の声が上がっております。前提となる雨量が48時間で295ミリメートル、出現率が1000年に１回というまれに見る豪雨時の想定とはいえ、その地域にお住まいの皆様は大きな不安を抱いていることと思います。このような事態に対処するためにも、市民の生命と財産を守り、安心して暮らすことができるまちづくりを推進していく必要性を改めて強く感じております。
　　近年、本市において整備した防災拠点施設としましては、神町防災センターが挙げられます。それ以前の神町地区においては、備蓄倉庫や通信設備をはじめとする防災機能を備えた指定避難場所がなかったため、地震等の災害が発生した際の地域における拠点が必要との観点から整備したものであります。
　　本市の西部地域においては、大規模な自然災害として、地震や洪水による被害が想定されます。地震については、山形盆地断層帯を震源とするもので、震度６強から７が見込まれております。
　　洪水については、最上川の氾濫や支流である白水川、村山野川、乱川の氾濫のほか、状況によっては、最上川との合流部付近におけるバックウオーターによる氾濫の恐れもあります。
　　このような災害の発生を前提として、防災拠点施設の機能を想定した場合、立地については洪水による浸水区域の外に整備すること、自家発電機能を有すること、年間を通じて空調機能を有すること、災害時に十分な備蓄機能を有すること、安定的な情報発信や収集機能が稼働することなどが考えられます。
　　これらを踏まえ、西部地区に防災拠点となる施設の整備について、事務局に検討を指示したところでありますが、規模やスケジュール等の詳細の内容については、今後協議を重ねていくこととなりますが、いずれにしましても、実現に向けて早急な具体案を指示しております。
　　次に、根本的な浸水対策、雨水幹線整備についてであります。
　　近年、地球温暖化に伴う局地的な豪雨が頻繁に発生する傾向にあり、本市においても昨年６月と７月に計３回、これまでに経験したことのないような集中豪雨に見舞われ、特に東根神町地区において、道路の冠水が発生し、市民からの通報により担当職員が現場調査を行っております。
　　調査報告によりますと、豪雨により雨水が宅地から道路へ流出し、道路側溝があふれる冠水や、雨水が道路から宅地に流れる浸水等がほとんどであり、その原因については、道路側溝の流末が未整備であることや道路側溝の流下能力を超える豪雨と判断され、住宅の床下浸水等の恐れがある場合については、維持業者にポンプ排水を指示し、適切な対応を行っております。市街地における恒常的な冠水区域については、東根地区ではロイヤル病院前交差点から東根中部小学校までの区間、また神町地区では、神町北部地区や東陽寺周辺が代表的な箇所となっております。
　　この対策として、東根地区については、令和２年度に雨水幹線排水路と接続する側溝工事を実施してまいります。また、神町地区については、近年の宅地化に伴い雨水被害が増加傾向にあることから、排水エリアを分割し、既設管渠の負担を軽減する等、公共下水道事業の中で抜本的な対策を実施する予定であります。これにより、令和２年度に神町北部から神町中部エリアを対象とした村山野川左岸第一幹線の実施設計を行い、令和３年度から対策工事に着手し、雨水対策を進めてまいります。
　　さらに、公共下水道事業については、汚水事業から雨水事業にシフトし、令和３年度以降、雨水幹線整備事業を積極的に進める計画であり、市街地における恒常的な冠水等については、軽減されるものと捉えております。
　　一方、市街地周辺部における冠水、浸水の被害状況を確認した結果、土地改良区等が管理する用水、排水の増水に伴い発生する場合が多く見受けられます。このため、土地改良区等の水路管理者に対し、常時の維持管理の徹底をお願いするとともに、天気予報等で台風や豪雨等の情報が得られた場合については、通水の調整を行っていただくよう、連絡をとっているところであります。
　　このほか、局部的に浸水・冠水する市道等については、現場を調査し、優先順位を勘案しながら側溝整備や浸透桝の設置等、有効な対策を検討し、実施してまいります。
　　次に、公共工事平準化の取り組みについてであります。
　　本市における建設工事の発注に当たっては、公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる品確法に基づき、適正な工期設定や施工時期の平準化を図っているところであります。
　　公共工事の平準化につきましては、年度当初に四半期ごとの発注計画を立て、工事発注が偏らないよう、計画するとともに、受注業者の安定経営に寄与するため、本市の発注計画を一般に公表しているところであります。しかしながら、補助事業に関する工事につきましては、国・県による補助金の額の決定後の発注となるため、年度当初の発注ができない状況となっております。
　　また、冬期間については、降雪による作業条件の悪化や市内の工事受注業者の多くが市道や公共施設の除雪業務を請け負っていることから、冬期間における工事量を減らさざるを得ない状況もあります。
　　安定した会社経営及び従業員のワーク・ライフ・バランスの確保のためには、公共工事の平準化が必要であると認識しているところであります。平準化に向けた新たな手法の導入等につきましては、今後、国・県及び周辺自治体の動向を調査しながら、研究してまいりたいと考えておりますので、ご理解をお願いいたします。
　　次に、行財政改革推進プランについてのご質問にお答えをいたします。
　　はじめに、進捗状況の検証についてであります。平成28年度から令和２年度までを計画期間とする第６次行財政改革推進プランにつきましては、柔軟で効率的な行財政運営の取り組み等により、行政の質的向上や市民との協働のまちづくりの実現を目指すべく、民営化や民間委託の推進、下水道事業の経営健全化等、各種施策を位置付け、取り組んでいるところであります。
　　具体的な取り組み項目について、毎年進捗状況や数値目標の達成について管理しており、庁内での検証に加え、市民も交えた検証を行っております。今年度については、進捗状況等について調査を行い、年度内の実績について取りまとめを進めており、今後行財政改革推進本部会議や懇談会において検証を進めてまいります。
　　次に、電子行政の推進についてであります。
　　本市における、電子行政の推進につきましては、内部情報システム等を導入し、事務処理の迅速化、効率化を進めてまいりました。また、近年におけるＩＴ技術の進展により行政サービスの提供の面においても、市民の利便性向上に資する取り組みについて、様々な検討が行われるようになってきております。
　　本市におきましては、２月から運用を開始した各種証明書のコンビニ交付サービスや各種申請書等を市ホームページからダウンロードを可能にするなど、実施してきたところであります。さらに、まなびあテラスにおいては、オンラインによる施設の予約状況確認や蔵書の検索、貸し出し図書の予約や電子書籍の閲覧等を行っており、利便性の高い施設として、市民の皆様に広く利用いただいております。今後もＩＴ技術の活用方法について、情報収集しながら、市民の利便性向上に資する取り組みについて研究してまいります。
　　次に、市税納付手数料支払いのキャッシュレス化についてであります。ＩＴ技術の進展に加え、最近では大規模なポイント還元キャンペーン等の影響もあり、ＱＲコード決済やクレジットカード決済等、私たちの生活の中において、キャッシュレス化が急速に普及、浸透してきております。住民の利便性向上に向け、市税や公共料金の支払いについてもキャッシュレス化が進み始めており、導入する地方自治体は増加していく傾向にあるものと考えております。
　　しかしながら、急速に普及が始まったことで、サービスを提供する新規事業者が多数乱立する状況にあり、トラブルの発生等も報じられております。また、本市における市税等の納付や水道料金、下水道使用料の支払いについては、大半が口座振替となっておりますが、キャッシュレス化により利便性がどの程度向上するのか不透明な部分もあります。
　　キャッシュレス決済に伴う手数料の負担や初期導入費用等の課題もあることから、費用対効果の面や安全性の観点からも慎重な検討が必要と思われるため、キャッシュレス化の普及状況や先進自治体の取り組み状況等を十分に見極め、キャッシュレス化の導入について研究してまいります。
　　次に、質の高い公共サービス提供を支える人材の育成についてであります。
　　人口減少社会の到来や少子高齢化、国際化の進展等、行政を取り巻く環境については目まぐるしく変化しております。本市の職員がこうした社会変化に柔軟に対応できるよう、第６次行財政改革推進プランにおいては、質の高い公共サービス提供を支える人材の育成を掲げ、様々な制度を展開しております。
　　中でも、職員が担当する業務や経験年数等に応じ、個々のスキルアップを目的とした研修制度をはじめ、職員の業務に対する意識改革を目的とした人事評価制度や業務改善提案制度等は、職員の資質向上に大きく寄与しております。
　　今後、ますます複雑化する社会において、本市が持続的発展を遂げていくためには、広い視野や政策形成能力を備えた意欲ある職員を育成していくことが重要であり、安定した市政運営や質の高い行政サービスを提供するため、今後とも職員の育成に一層力を入れてまいります。
　　次に、行政文書へのＵＤフォント導入についてであります。
　　近年、文字の形がわかりやすく、誰でも読みやすいユニバーサルデザインフォント、いわゆるＵＤフォントが注目されており、企業の広告やパッケージ等への表示に加え、広報誌やホームページにＵＤフォントを導入する自治体も出始めてきております。
　　本市の現状についてでありますが、職員が使用しているパソコンでは、ＵＤフォントの使用もできますが、行政文書等におけるフォントの使用については、統一した基準がなく、業務の用途に応じたフォントをそれぞれの職員が判断し、適切に使用している状況にあります。
　　ＵＤフォントについては、誰でも読みやすい書体であることから、情報が伝わりやすく、心理的な抵抗感が和らぐなどの効果が見込まれるところであります。しかしながら、行政文書等におけるＵＤフォントの統一的な使用については、まだ始まったばかりであり、行政間での文書のやりとり等、様々な場面での検証が必要であると捉えております。
　　今後、先行自治体での効果や他市の動向等を見極め、行政文書におけるＵＤフォントの統一的な使用について研究してまいりますので、ご理解をお願いいたします。
　　次に、福祉環境の充実についてのご質問にお答えをいたします。
　　はじめに、障がい者グループホームの設置についてでありますが、グループホームは、障がい者の居住系サービスであり、知的障がい者や精神障がい者が世話人の支援を受けながら共同生活をする場であります。定められた設備基準等に基づき、県の指定を受け、社会福祉法人や企業などが設置し、国・県・市から支払われる給付費と利用者の自己負担により運営されるものであります。
　　令和元年12月末において、本市が給付費を負担している利用者は30名であります。そのうち東根福祉会が村山市で運営しているグループホーム、けやきの杜では、本市所在の就労継続支援事業所であるこすもすの家で働きながら、２名の方が生活されております。それ以外の方は新庄市に７名、天童市、尾花沢市にそれぞれ４名と、県内外９市２町において就労継続支援事業所における仕事との組み合わせでグループホームを利用されているようであります。利用者については、近年は30名から35名程度で推移しており、今後家族の高齢化等に伴い、その需要は増加するものと見込んでおります。
　　議員ご質問の市内での設置の見込みにつきましては、現在１事業所より設置に向けて検討を進めている段階であることと伺っており、また先に検討されていた障がい者施設の計画が諸般の事情により中断している状況もあります。市といたしましては、障がい者やその家族が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、グループホームの必要性について、機会を捉えて、事業所等に働きかけを行ってまいります。
　　次に、風疹抗体検査予防接種クーポン券配布についてであります。
　　一昨年、４月以降、日本で風疹の患者数が増加しましたが、その患者の中心は30代から50代の男性でありました。特に、昭和37年４月２日から昭和54年４月１日の生まれ、年齢では40歳から57歳の男性については、公的な予防接種を受ける機会がなく、抗体保有率も低くなっている状況にあります。そのため、これまで乳幼児及び妊娠を希望する女性等を中心に行ってきた風疹対策の対象に、今年度から３年間この年齢層の男性を加え、実施されております。初年度となる今年度については、昭和47年４月２日から昭和54年４月１日生まれ、年齢では40歳から47歳までの男性にクーポン券を発送し、全国の実施機関で抗体検査予防接種を受けていただきました。
　　本市における12月までの抗体受検率については26.3％、予防接種率については72.5％と高い数値となっているものの、国全体としては伸び悩んでおります。
　　今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されることもあり、新年度はより多くの対象者が抗体検査を受けることについて、国から協力依頼があったところであります。この要請を受け、本市においても対象者を拡大し、２年目となる新年度に残りの全対象者にクーポン券を発送することで、抗体検査の受診者を増やし、早急に抗体保有率を高めてまいりたいと考えております。
　　次に、インフルエンザ予防接種についてであります。
　　小児のインフルエンザ予防接種につきましては、現在任意接種で行われておりますが、今年度から子育て応援新５つ星事業の１つとして、１歳児から年長児までを対象に、費用の一部を１回に限り1,900円を助成しております。
　　インフルエンザに罹患した場合、小児では、中耳炎の合併や熱性けいれん、気管支ぜんそくの誘発、急性脳症等の重症合併症が表れることが報告されており、後遺症等が残った場合、一生を左右することになります。
　　また、小児が罹患した場合、その保護者も仕事を休む必要があるなど家庭内での負担も大きくなります。インフルエンザ予防接種への助成につきましては、特に重症化しやすい小児の将来を守るとともに、予防接種に対する認識を高め、自分の健康は自分で守るという意識を育てることを目的に実施しているところであります。
　　次に、子宮頸がん予防ワクチン接種についてであります。
　　子宮頸がんを予防するＨＰＶワクチンにつきましては、平成25年度から定期接種が開始をされましたが、注射部位の疼痛や運動障害を中心とした多様な症状が報告され、マスコミ等でも多く報道されました。その年の厚生労働省の審議会において、ワクチンとの因果関係を否定できない、持続的な疼痛の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきでないとされ、積極的な勧奨を差し控える旨の通知が厚生労働省から発出されております。
　　しかしながら、子宮頸がんは20歳から39歳までの女性におけるがん発生率第一位となっており、また患者数も増加していることから、ワクチン接種と合わせて20歳を過ぎた場合、定期的な子宮頸がん検診を受けることが重要だと考えております。このようなことから子宮頸がん検診の周知、啓発に努めるとともに、ワクチン接種につきましては、国の動向を注視しながら対応してまいりますのでご理解をお願いいたします。
○細矢俊博議長　次に、教育長に答弁を求めます。
　　元木教育長。
　　　〔元木正史教育長　登壇〕
○元木正史教育長　私からは、教育環境の整備についてのご質問にお答えをいたします。
　　はじめに、教育ＩＣＴ環境の構築についてでありますが、これまで2018年から2022年度を計画期間とする国の第３期教育振興基本計画に基づき、学校のＩＣＴ環境整備に係る地方財政措置を受け、整備を進めているところであります。
　　学習者用コンピュータについては、現在、児童・生徒3.8人にコンピュータ１台の整備となっており、現計画の目標である３クラスに１クラス分程度の整備目標にほぼ近づいているところであります。指導者用コンピュータについては、およそ25.3％の整備率にとどまっており、授業を担当する教師１人１台という目標には届いていないところであります。
　　一方で、無線ＬＡＮの整備及び校務用コンピュータの整備については、今年度をもって100％の整備率を見込むなど、掲げられた目標水準の一部については、計画期間を待たずに達成が見込まれるところであります。
　　今後は、引き続き児童・生徒用のコンピュータを整備するほか、統合型校務支援システムの整備による、より効率的、効果的に校務を行うことができる環境づくり等が課題と認識しているところであります。
　　しかしながら、昨年度末に、国からＧＩＧＡスクール構想が打ち出され、より高速で大容量のデータ通信に対応するＬＡＮの整備と児童・生徒１人１台のパソコン等の端末整備を行うことがロードマップとともに打ち出されました。市教育委員会といたしましては、この動きを踏まえ、国が示しているとおり、令和５年度までに市内小中学校における高速大容量インターネット環境と、児童・生徒１人１台パソコンの整備を実現したいと考えております。
　　一方、こうしたハードの整備とともに機器を活用する際のスキル向上もまた重要であります。特に、この度の構想では、児童・生徒１人１台の端末が教科書やノートにかわるような劇的な授業の変化も想定されるところであります。そのため、教員のＩＣＴ活用力の向上に向けて、県教育センター等による研修会への参加はもとより、市教育委員会独自に研修の機会を設けたりＩＣＴ支援員の配置について検討したりするなど、新たな時代に対応できるよう努めてまいります。
　　次に、教育現場へのＵＤフォント導入についてであります。ＵＤフォントにつきましては、市長答弁にもありましたとおり、誰にでもわかりやすく、読みやすいことを目指して開発された書体とされており、一般的な明朝体やゴシック体等に比べ、文字そのものの形が認識しやすいと言われております。特に、高齢者や読み書きに障害のある方にとって、比較的読みやすい書体とされていることもあり、一部の自治体等で導入が始まっているところであります。
　　本市においても各学校における校務用パソコンにＵＤデジタル教科書体をはじめ、10種類の書体がインストールされており、文字の読み手や伝える内容等状況に応じて各書体を使い分けることにより教育効果が高まるのではないかと考えております。
　　教育現場へのＵＤフォント導入につきましては、これまで同様その特性を踏まえた上で、適宜使用することとし、統一的な導入については今後研究してまいります。
　　次に、スクールソーシャルワーカーの配置についてであります。
　　スクールソーシャルワーカーについては、子どもの家庭環境による問題に対処するため、児童相談所と連携したり、教員を支援したりする福祉の専門家になります。原則として社会福祉士または精神保健福祉士等の資格が必要とされる職業とされております。しかしながら、有資格者不足等から全国的にも配置が進まない状況となっております。
　　現在、本市においては、同様の機能を市が独自に配置している教育支援専門員が中心となり、その役割を担っております。現在は、小学校校長ＯＢ２名を教育委員会内に配置し、市内小中学校14校及び適応指導教室等を回りながら相談活動を実施し、必要に応じて福祉部門や関係機関等と連携を図りながら子どもが安心して学校に通えるような環境整備を図っております。
　　なお、家庭環境等子どもの背景にある諸課題の把握には教員はもちろんですが、市が配置している心の教室相談員や適応指導教室指導員、県が配置しているスクールカウンセラー、子どもふれあいサポーター等が成果を上げております。今後とも、それぞれの職種の強みを生かした連携を図りながら子どもたちが安心できる学校生活を送れるような環境が整うことを目指してまいります。
　　次に、児童・生徒の推移予想についてでありますが、住民基本台帳による現在の１歳から６歳までの人口から集計した結果を踏まえますと、今後の市全体の児童・生徒数の傾向については、ほぼ横ばいとなっております。地域的な傾向といたしましては、市の中心部ではやや増加傾向にあり、特に東根中部小学校や神町小学校区に増加がみられます。また、周辺部では減少が続く傾向にあり、高崎小学校や長瀞小学校区にその傾向が強く見られる状況となっております。
　　現在、市教育委員会においては、「東根市学校施設長寿命化計画」の策定に向けて、専門業者に委託をし、作業を行っているところでありますが、その中で自然動態や社会動態を踏まえた将来の児童・生徒数の推計を依頼しております。
　　中間報告によりますと、仮設校舎を使用している東根中部小学校と神町中学校区については、児童・生徒数の微増傾向に加え、区域内における宅地開発が活発化しているため、今後も児童・生徒数が増加することが予測されることから教室不足は継続するものと考えております。このような状況を踏まえ、教室不足への対応と学校施設全般にわたる計画的な整備を検討してまいります。
　　次に、学校施設の歩車分離についてでありますが、現在学校敷地内において、歩行者と自動車の通路がおおむね分離されているのは、東根中部小学校と大森小学校となっており、現在改築中の神町小学校についても、歩行者と自動車が分離される構造となっております。
　　しかしながら、これらの学校においても通学路と駐車場入り口が重なるなど、完全な歩車分離とはなっておりません。市教育委員会といたしましては、校内通路の視認性向上を図るなど各学校の実情に応じて事故の未然防止に向けた施設整備に努めるとともに、児童・生徒への交通安全に対する指導を強化することにより、安全確保に取り組んでまいりますので、ご理解をお願いいたします。
○細矢俊博議長　12番河村　豊議員に申し上げます。
　　会派代表質問の発言時間は、答弁を含めおおむね70分以内となっており、発言残時間はゼロとなりましたので、以上でご了承願います。

　　◎片桐勝寿議員質問

○細矢俊博議長　次に、ひがしね市政クラブを代表して、８番片桐勝寿議員。
　　　〔８番　片桐勝寿議員　登壇〕
○８番（片桐勝寿議員）　ひがしね市政クラブを代表いたしまして、８番片桐勝寿です。通告に従いまして、質問いたします。
　　令和２年度は本市の第５次総合計画策定の年です。また、平成27年から始まった国の第１期まち・ひと・しごと創生総合戦略は今年度末で終了し、昨年12月20日に第２期まち・ひと・しごと創生総合戦略が閣議決定され、総合戦略は次のステージへと進んでいきます。本市においても、平成27年10月に第１期東根市総合戦略を策定しており、今後、第２期の策定へと進んでいくと考えます。
　　2019年１月、国は国の第１期総合戦略の取り組みの実施状況や成果を調査・分析するため、有識者会議を設置し、基本目標や重要業績評価指標の進捗状況などの検証を行いました。国は第１期戦略の中で４つの基本目標を設定しました。それは、「地方における安定した雇用を創出する」「地方への新しいひとの流れをつくる」「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」「時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する」の４つです。
　　有識者会議において、このうち雇用を創出と地域づくりに関しては、目標達成に向けて進捗していると評価され、人の流れの創出と結婚・出産・子育ての希望をかなえるに関しては、東京圏への人口の集中が一層進んでいることなどから、各施策の進捗の効果が現時点では十分に発現するまでには至っていないという評価になりました。この評価を受け、国は第２期戦略で人の流れと出生率の向上に向けた対応の評価を図ることとしています。
　　本市においても、本市の第１期総合戦略の検証と、その検証を受けて第２期総合戦略の策定へと進んでいくと考えますが、この一連の流れを今後どのように進めていくのかをお聞きいたします。
　　また、本市の第１期総合戦略の基本目標として、こちらは資料１をご覧ください。「東根らしさを生かしたまちづくり」「安定した雇用の確保」「新たな人の流れの創出」「結婚・出産・育児の夢を現実に」の４つを挙げております。この４つの基本目標に対して、それぞれ複数の重要業績評価指標を設定し、さらに基本目標達成のための具体的な施策と施策ごとの個別目標数値も設けるという達成度を細かく検証し、改善を繰り返す仕組みになっております。市は、重要業績評価指標、個別目標数値の進捗状況を検証し、平成30年度に中間報告をしております。
　　この報告を見ると、「基本目標の東根らしさを生かしたまちづくり」「安定した雇用の確保。新たな人の流れの創出」の重要業績評価指標の達成度は、目標達成もしくは目標設定時より改善というすばらしい結果でした。これに対して、「結婚・出産・育児の夢を現実に」の重要業績評価指標である合計特殊出生率、婚姻数、市内企業における男性の育児休暇取得率は、目標設定時より悪くなったという結果になっています。
　　これら指標の中で合計特殊出生率については、目標設定時は平成25年の1.63という数値を採用しており、その後、平成26年1.58と少し落ち込み、平成27年1.74、進捗報告で採用した平成28年の数値は1.48と落ち込みましたが、翌年の平成29年は1.68と改善した数値が発表されております。この度のＣ判定のみでは判断するのは難しく、今後の動向を注視していかなければならないと考えます。そこで、報告書の結果について、個別目標数値の達成度の結果も含めての質問をいたします。
　　基本目標、安定した雇用の確保に関してですが、重要業績評価指標に関しては、おおむね順調に進捗していると評価できますが、資料２を見ていただければわかるように個別施策のコワーキングスペースの提供と次世代型産業等の誘致導入の個別目標の達成度がＣ判定になっています。次世代型産業等の誘致導入に関しては、当初予定のＭＲＪの開発の大幅なおくれが原因でのＣ判定と思われるので、ここではコワーキングスペースの提供に関して質問いたします。
　　東京周辺では現在、テレワークの進展などの流れもあり、シェアオフィスやレンタルオフィス、そしてコワーキングスペースが主要駅近辺に次々とできております。山形はまだそのような流れにはなっていないとしても、若者の新しい働き方や企業を応援するためには必要不可欠の施設と考えますし、今後ますます需要の出てくる施設であると考えます。そこでコワーキングスペース、Ｃ＆Ｃひがしねの現在の利用の状況がどうなっているのかについてお聞きいたします。
　　次に、基本目標、「結婚・出産・育児の夢を現実に」についてですが、国の第２期まち・ひと・しごと総合戦略の序章、第１期における地方創生の現状等の中の地方公共団体のＫＰＩ進捗状況に関する調査結果が載っております。
　　これは資料の４を見てください。この資料を見ると、結婚・出産の部分の取り組みは目標以上を達成、おおむね目標を達成、目標達成に向けて順調に推移を合わせて47.1％と他の目標設定に比べて最も低いものとなっていることがわかります。この分野では、他の自治体も有効な施策が打てず苦労しているという状況が伺われます。
　　資料３を見ていただければわかるように、本市においても指標として設定した結婚数と市内企業における男性育児休業取得率において、達成度Ｃとなっております。この２つの指標に関わる本市の施策の現状と今後の取り組みについてお聞きいたします。
　　くわえてお聞きいたします。各自治体で結婚・出産に対する取り組みがうまくいっていないのは、少子化というよりも少母化が原因ではないかという指摘があります。資料５を見てください。日本全体で2019年９月の時点の25歳から39歳の女性人口は約965万8,000人で、１年前の同じ９月の時点と比べ、20万7,000人減っています。１年間で21万人弱の出産適齢の女性が減っているということになります。また、国勢調査の資料を見ると、2015年に１人以上の子どもを産んだ15歳から39歳の女性は約497万人にとどまり、30年前の1985年の約1,060万人の半分以下に減少しております。出産適齢の女性の数、そのものが減っており、子どもも、子どもを産む女性の数も減っています。これでは合計特殊出生率が幾ら上昇しても人口が減少していくのは道理であります。
　　そこで、日本の女性の数そのものを増やすことは難しいことではありますが、地域に残る女性や移住する女性、移住してくる女性を増やしていく施策は可能であると考えます。
　　資料６をご覧ください。地域経済分析システムリーサスのデータで見ると、2017年における山形県全体の進学による純流入はマイナス1,500人、そのうち女性がマイナス700人の部分を占めております。同年の就職による純流入は、マイナス800人、そのうち女性がマイナス600人の部分を占めております。進学、就職を合わせると2017年の女性の純流入はマイナスの1,300人となり、男性よりも女性の流出が圧倒的に多くなっているという現状にあります。今後若い女性をターゲットにした女性が働きやすい職場環境の整備や女性のキャリアを生かせる職場の誘致や創設などの取り組みも必要と考えますがいかがでしょうか。
　　国の第２期総合戦略の中に、新たに多様な人材の活躍を推進すると新しい時代の流れを力にするという横断的な目標が加わりました。多様な人材の活躍を推進するに当たって、総合戦略は多様化、複雑化する地域の課題の解決に向けて地方公共団体だけでなく、企業、ＮＰＯ、住民、地域に関わる一人一人が地域の担い手として自ら積極的に参加できるよう、多様な人々が活躍できる環境づくりを積極的に進めることと性別や年齢、障害の有無や国籍に関わらず、誰もが活躍し、多様性に富む豊かな地域社会をつくることが重要だとしております。これらの実現のためには、地域や地域の人々と多様に関わる関係人口をいかに創出するかということが課題になると考えます。新しい時代の流れを力にするにおいて、総合戦略はSociety5.0の推進に向けて地域における情報通信基盤等の環境整備を進めた上で、未来技術の活用による地域課題の解決、地域の魅力向上を図るとしております。
    また、持続可能なまちづくりや地域活性化に向けての取り組みを推進するに当たって、ＳＤＧｓの理念に沿って進めることにより、政策全体の全体最適化、地域課題の解決の加速化という相乗効果が期待でき、地方創生の取り組みの一層の充実、深化につなげることができるとしています。
　　これらのことから、関係人口の創出、Society5.0に向けた未来技術の活用、ＳＤＧｓの理念に沿った持続可能なまちづくりがキーワードになってくると考えます。これらのことをどのように捉えられているのかをお聞きいたします。
　　昨今の急激な異常気象や、国際的な問題となっている大規模感染症に対し、市民の生活の安心・安全に向けた対応が急務となっております。そこで、これらの問題に対する本市の取り組みについてお伺いいたします。
　　国の災害対策基本法に基づき作成される防災基本計画は、毎年のように災害等の現状を踏まえ修正されております。本市の地域防災計画は平成29年の修正に合わせて平成30年に改訂されました。水防法の洪水浸水区域が近年豪雨災害の多発を踏まえ、50年から150年に１度程度の大雨を想定したものから、1,000年に１回である想定し得る最大規模の降雨に条件が厳しくなりました。
　　これに伴ってハザードマップが更新されております。そのハザードマップの更新に伴い、避難計画の変更等が必要な状況が生じていると思われます。
　　ほかにも本市の平成30年改定の地域防災計画以降に生じた防災基本計画の変更等への対応がどのようになっているのかを、お伺いいたします。
　　国の各省庁は、地方公共団体などに対し、個別施設計画を令和２年度までのできるだけ早い時期に策定することを求めています。
　　特に学校施設や社会教育施設は、未来を担う子どもたちが集い、生き生きと学び、生活する場であり、地域住民の生涯学習や文化、スポーツなどの活動の場でもあり、災害時には避難所としての役割も果たす重要な施設であります。
　　それにも関わらず、こちらは資料７をご覧いただければわかりますように、平成31年４月１日時点の全国の計画策定状況は、公立学校施設が15％、社会教育施設が15～19％と、非常に低い策定率になっております。
　　そこで、本市の個別施設計画の実施状況と、今後の展開について伺います。
　　また、特に高齢者や障がい者など様々な方が出入りする学校や社会教育施設、これらの施設は避難所にもなっており、災害時には平常時、想定されているよりも多くの人が利用することにもなります。これらの施設を含めて、今年度の施政方針に強く打ち出された共生社会の視点を個別計画にいかに盛り込んでいくのかもお伺いいたします。
　　昨年12月以降、中国湖北省武漢市を中心に発生し、短期間で世界に広がっている新型コロナウイルスですが、日本国内では今年１月15日に武漢市に渡航歴のある肺炎患者からこのウイルスが検出され、その後同市からの旅行者とその接触者、帰国した邦人などの感染が確認され、２月３日に横浜港に寄港したクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の船内でも感染が確認、その対応に追われる中、２月中旬以降国内においても急激に感染者が増えて、現在に至っております。
　　今朝のネットで確認した情報ではありますが、国内感染者数は256名で死亡者数は６名、国外感染者数８万6,193名、死亡者数2,966名となっております。
　　国内のＰＣＲ検査陽性者の状況がわかりやすいように、厚生労働省の発表資料をまとめた資料８を見てください。グラフの数字は右肩上がりに増え、現在国内の感染者は増加の一途をたどっているという状況にあります。
　　また、隣の宮城県や新潟県にも感染者が確認され、特に宮城県と隣接する本市にとっては、足元まで新型コロナウイルスが迫ってきている状況と考えます。
　　冒頭で市長の新型コロナウイルスへの対応状況をお聞きしますと、本市の対応の状況と今後の対策について、今回の質問で回答いただく予定の内容は、お聞きできたと考えますので、今後の対応に関する要望を述べさせていただき、新型コロナウイルスへの対応と、今後の対策に関する質問に代えさせていただきたいと思います。
　　先ほど市長の話にもあったとおり、現在小・中学校が休校となっており、学童保育所に登録している児童については、学童での受け入れをしているという状況にあります。
　学童に登録していない児童は、両親が共稼ぎの場合、家に残されているかもしれません。是非、漏れのない居場所の確保をお願いしたいと思います。お話では、対応の詳細を検討中ということでしたが、県から体制整備の例として示されている新規に受け入れを希望する児童・生徒に関しては、学校において対応するか、学校施設を利用して臨時に学童保育を開設し、対応するという内容が出ておりますので、速やかな具体的対応をお願いしたいと思います。
　　また、全国的にマスク不足が発生しております。マスクばかりか地域によっては、トイレットペーパーまで店から消えるという、異常な状況にあります。今後万が一、市中に感染者が出たなどという場合、本市においてもマスクの不足による様々な影響が出てくる可能性があります。
　　シャープがマスクの生産を始めるというニュースや、中国の通販最大手のアリババグループが日本にマスク100万枚を寄附するというニュースもあり、くわえて政府も真剣に対応しているという状況ではあるので、心配する必要はないかもしれませんが、もしそのような状況になった場合、多くの感染者を扱うこととなる医療現場や、多くの方々と限られた空間で接することとなる介護や保育、そして教育現場など、どうしてもマスクが必要な場所にマスクが届かないという事態が考えられます。
　　宮城県の気仙沼市では、マスクが手に入らない状況の中、感染リスクの高い市内の妊婦に市の防災備蓄用マスクを無償で提供したという事例もあります。
　　本市も含め今回の新型コロナウイルスに対する対応では、新型インフルエンザ特措法を適用して対応しているという現状だと思います。
　　特措法11条には、特措法による物資及び資材の備蓄と災害基本法第49条の規定による物資及び資材の備蓄とは、相互に兼ねることができるとあり、マスクを含む災害用の備蓄と新型インフルエンザ対策の実施にかかる備蓄とを同様に考える旨の規定が定められております。
　　本市にも災害用マスクの備蓄があるということですので、今後の状況を見ながら、本当にマスクの必要な現場に備蓄マスクを届けるということを、状況を見ながらで結構ですので、お願いしたいなと思います。
　　最後に、新型コロナウイルスの市内経済への影響についてのお願いです。
　　３月に入り、卒業式のシーズンですが、例年行われている卒業式後の謝恩会は中止と聞いております。
　　また、最近増加傾向にある東根温泉への外国人の宿泊客への影響も懸念されるところであります。
　　家庭においても、外出や外食を控えるということもあると思います。そういたしますと、市内映画館、遊技場、飲食店への影響も心配されるところであります。
　　この状況が長引けば、今月末ごろのオープンを控えている加温ハウスでのさくらんぼもぎとりを行っている観光果樹園への影響や、よってけポポラなどの売り上げに対する影響など、ほかにも様々な影響が考えられます。
　　国、県も対応策を検討している状況にはあると考えますが、本市においても状況の把握に努め、本市のできる対応の検討をお願いいたします。
　　最後は要望になってしまいましたが、以上で壇上での質問を終わります。
○細矢俊博議長　８番片桐勝寿議員の質問に対し、答弁を求めます。
　　土田市長。
　　　〔土田正剛市長　登壇〕
○土田正剛市長　ひがしね市政クラブ片桐勝寿議員の東根市総合戦略についてのご質問にお答えをいたします。
　　はじめに第１期東根市総合戦略の検証と第２期総合戦略策定までの流れについてであります。
　　昨年12月の全員協議会において説明しましたとおり、総合戦略につきましては現在策定作業を進めている第５次総合計画の計画期間に合わせ、一体的に策定を進めていくものとし、令和２年度まで１年間延長したところであります。
　　戦略において設定した重要業績評価指標、いわゆるＫＰＩに対する進捗状況については、毎年研修を行っており、平成30年12月には中間報告として、議員の皆様にお示ししたところであります。
　　第１期の最終年度となる来年度において、その成果と課題について検証を行い、第２期の策定に向け総括してまいります。
　　地方創生は、地方自治の根幹をなすものであり、長期にわたる取り組みであることから、これまでの方向性を維持するとともに、社会情勢の変化や国が示した新たな視点等を踏まえ、第２期の戦略を策定してまいりたいと考えております。
　　次に、産業力強化プロジェクト“安定した雇用の確保”についてであります。
　　議員ご質問のコワーキングスペースＣ＆Ｃひがしねの利用状況についてであります。
　　コワーキングスペースＣ＆Ｃひがしねにつきましては、平成29年４月さくらんぼタント館２階に開設され、運営を山形大学に委託しております。
　　運営しております山形大学工学部のものづくり技術経営学地域価値創成研究所については、これまで積み重ねてきた県内外の多くの企業とのつながりを生かし、相談に来た企業に課題解決に向けたアドバイスを行ったり、企業とのマッチングにつなげたりし、産学官を連携させた取り組みを得意としております。
　　特に、ビジネスマッチングについての事例を挙げますと、本市商工会と東京都荒川区の企業グループ同士の交流において得た技術が、市内企業の生産効率改善や、コストの削減につながったという事例があり、また、新製品の開発を目指す企業が、山形大学工学部からの紹介により、製品開発につなげているなどの事例もあります。
　　これまで企業や事業所等から相談を受けた件数は約100件となり、そのうちビジネスマッチングとしてサポートしてきた件数は約30件で、その半数は企業同士の提携につながっております。
　　また、議員ご指摘の創業支援の事例につきましては、国家資格の取得から創業までをサポートした事例等、５件が実績として挙げられます。
　　こられの成果により平成29年度に1,692名だった利用者については、平成30年度に2,212名と約30％の増加につながったところであります。
　　今後もオープンスペースの利用や相談活動、セミナー受講等については、継続して行われることから、利用者の創業支援やビジネスマッチング等の結果につながる相談等も増えることが期待されます。
　　今後ともこのような取り組みを継続し、運営する山形大学と連携を密にしながら、利用者の成果につなげていくことができれば、利用者数の増加だけにとらわれることなく、本市の産業振興や雇用創出、創業支援に効果が表れるものと考えております。
　　次に、安心子育て夢応援プロジェクト“結婚・出産・育児の夢を現実に”についてであります。
　　本市における婚姻数についてでありますが、平成28年10月１日現在における報告値は266件であり、前年比５件の増加となっておりますが、総合戦略策定時の数値は下回っており、結婚推進に関し、さらなる取り組みが必要であると認識しております。
　　未婚者が結婚に至らない理由としましては、知り合う機会が少ない、結婚してもよいと思う相手にめぐり合っていない等の声があることから、各地区の結婚推進組織の代表者で構成される東根市結婚推進協議会「あい・ネット・ひがしね」が婚活パーティー等を開催し、出会いの場を提供しております。
　　本市といたしましては、この協議会に対し、結婚推進に関する活動支援補助金を交付するとともに、事業の周知を行う等、側面的な支援を実施しております。
　　また、県市町村関係機関で構成する山形出会いサポートセンターや、県と村山地方の市町で構成する村山広域婚活事業実行委員会に参加するなど、関係機関団体と連携しながら事業を実施しております。若者の結婚の夢をかなえられるように、今後も引き続き「あい・ネット・ひがしね」に対する支援を継続するとともに、婚活イベント等の情報発信を行いながら、効果的な事業を展開できるよう努めてまいります。
　　次に、市内企業における男性の育児休業取得についてであります。
　　平成30年３月31日現在における報告値は、1.0％で前年比2.2ポイントのマイナスとなっており、目標値には届いていない状況にあります。本市においては、毎年男女共同参画推進の一環として、市内企業を対象に男性の育児休業取得率のアンケート調査を実施し、その調査結果を送付するとともに、「やまがた子育て・介護応援いきいき企業」認定制度や「やまがたイクボス同盟」に関する資料も併せて送付するなど、ワーク・ライフ・バランスに関する普及啓発を行っているところであります。
　　また、市役所においては、今年度男性の育児休業等の取得が２名、育児参加休暇の取得が３名と取得実績があり、職場において取得促進を働きかけた成果であると捉えております。
　　しかしながら、仕事上や職場環境の現状、経済的背景、固定的な役割意識の問題等から、男性の育児休業取得についての意識向上は図られても、取得実績に結びつかないのが現状であります。
　　国の成長戦略においては、あらゆる分野において男女共同参画の機会を拡大しようとする機運が高まっております。
　　本市といたしましては、性別にとらわれることなく、個性や能力を十分に発揮し、それぞれの役割を果たしていくことが重要であると認識し、男性が育児に関わる機会の増加に向け、取り組んでまいりたいと考えております。
　　次に、女性が働きやすい職場環境の整備及び女性のキャリアを生かすことができる職場の誘致や創設等の取り組みについてであります。
　　現在、本市においては、女性の活躍推進やワーク・ライフ・バランスに積極的に取り組む機運を醸成するため、市内企業に対し女性の職業生活における活躍の推進に関する法律及び次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」の策定に向けた啓発等を行っております。
　　また、さくらんぼタント館内のコワーキングスペースを運営する中で、女性の起業に特化したセミナー等を開催し、起業機会の創出と異業種による起業推進の連携を図っているところであります。本市といたしましても、より効果のある情報提供や支援体制の充実を図り、取り組みを推進してまいります。
　　次に、Society5.0等の捉え方についてであります。国の第２期総合戦略においては、基本目標に向けた取り組みを実施するに当たっての横断的な目標として、「新しい時代の流れを力にする」「多様な人材の活躍を推進する」の２つを掲げております。
　　具体的な内容としましては、地域におけるSociety5.0の推進、地方創生ＳＤＧｓの実現などの持続可能なまちづくりを位置付けるとともに、地方への新しい人の流れをつくるため、将来的な地方移住にもつながる関係人口の創出拡大を打ち出しております。
　　近年、自動運転や無人店舗の社会実験が始まるなど、技術革新は目覚ましく、このような実験的技術については日々広がりを見せており、今後実用的な技術として積極的な導入に向けた検討が必要になってくると考えております。
　　Society5.0実現に向け、今後の技術革新の状況や先進事例の状況、国や県等における支援の状況等について情報を集め、研究していくことが重要であります。
　　ＳＤＧｓにつきましては、施政方針においても表明しておりますように、これまでも持続可能な社会、自治体運営を意識した施策に取り組んできており、ＳＤＧｓと同様の視点は今後も総合戦略に限らず、あらゆる施策を展開していく上で盛り込むべき視点であると考えております。
　　また、関係人口については、人口減少が大きな課題となっている地方にあっては、地域外の人材が新たな地域活性化の担い手となることが期待されております。本市においてはふるさと納税制度やＧＩ東根さくらんぼをはじめ、東根ブランドによる本市の魅力や情報の発信を通し、本市に関心を寄せていただく方も増えていることから、こうした活動をきっかけとして本市とのつながりを広げていくための取り組みが、今後必要になってくるものと考えております。
　　いずれの項目についても、人口減少や都市部への人口の集中、次世代の移動通信システムをはじめとした技術革新等、新たな時代の潮流を捉え、持続可能な社会の実現を目指していくにあたり、重要な視点になってまいります。
　　これらの社会的な変化を的確に捉え、重点を置いた施策を展開していくことが、重要になってまいりますが、具体的な内容につきましては、現在の総合戦略の検証や総合計画の策定に向けた検討状況等を踏まえ、今後検討してまいりますので、ご理解をお願いいたします。
　　次に、安全・安心な市民生活の実現に向けてのご質問にお答えをいたします。
　　はじめに本市の防災・減災に向けた取り組みについてであります。
　　地域防災計画につきましては、災害対策基本法の規定に基づき、地方自治体と防災関係機関が協力し、住民生活の各分野にわたり重大な影響を及ぼす恐れのある災害に対応するため、災害予防対策、応急対策及び復旧・復興対策に関し、総合的かつ基本的な事項を定めたものであります。
　　現在運用している地域防災計画については、平成30年度に改定したものであり、昨今の大規模な災害を背景とした上位法等の改正や、防災に係る諸施策等を計画に反映させております。
　　なお、洪水ハザードマップや組織体制等、改定以降に変更が生じた項目については、来年度の改定を予定しており、国や県の動向を見ながら作業を進めているところであります。
　　また、個別施設ごとの長寿命化計画についてでありますが、国内のインフラについては、高度成長期以降、集中的に整備されたため、今後一斉にその老朽化が懸念されることから、インフラの安全性、信頼性を確保することが求められております。
　　このため、国が平成25年11月に策定したインフラ長寿命化基本計画において、戦略的な維持管理、更新等を推進するため、各インフラ管理者が個別施設ごとの具体的な対応方針を定める計画として、それぞれの長寿命化計画をできるだけ早期に策定することとされました。
　　このようなことから、本市においても橋梁や公営住宅、林道施設について策定を済ませたところであります。
　　また、他の公共施設等についても、学校教育関連施設については、今年度策定に着手しており、新年度においては生涯学習施設や福祉施設の策定を予定しているなど、早期の対応に努めているところであります。
　　次に、長寿命化計画への対応状況等についてであります。
　　本市における長寿命化計画につきましては、既に策定済みの計画として、市営住宅の適正管理を図るための公営住宅長寿命化計画、市道林道における橋梁の長寿命化計画があります。
　　また、今年度全小・中学校14校を対象とした学校施設等長寿命化計画の策定を進めているところであります。
　　今後想定されますインフラや施設の維持管理、更新費用の増大等を踏まえ、公共施設等総合管理計画に示された方針に基づき、各施設の長寿命化計画の策定を順次進めていく予定であります。これまでも共生社会への一定の配慮のもと、整備を進めておりますが、十分に行き届いていない状況もありますので、令和２年度に策定を予定しているさくらんぼタンクルセンターの長寿命化に向けた、保健福祉施設長寿命化計画、公民館や体育施設等を対象とした社会体育施設等長寿命化計画、令和３年度の庁舎修繕計画等へ可能な範囲で盛り込むべく検討をしてまいりますので、ご理解をお願いいたします。
　　最後に、片桐議員からは、新型コロナウイルスに関しての要望等の表明がありました。仙台での発生した例はダイヤモンドプリンセスにおいて陰性の方が、その後仙台で陽性として発生したということが、原因としてはっきりしております。いわゆる市中感染ではなかったというとはいえ、まさに足元から発生したわけでありまして、私もそういう意味では人一倍ナーバスになっております。まさに隣近所まで来たなと思っておりますが、そのような意味においては先ほど会派代表質問の前に、皆様方に表明をしたとおり、さらに緊張感をもって、この新たな対策も含めて、県や国とも今日昼間に鈴木代議士からも電話があって、何か困っていることはないかということでありましたけれども、とりあえず昨日から国の指示に従って、順調に滑り出しを行っておりますと、ただ、これからどういうことが、まさに想定外のことも発生するかもしれません。そういう意味でも速やかに、国あるいは県とともに連絡をさらに密にしながら、万全の体制を引かなければいけないなと、改めて思っているところであります。
　　どうぞ、議員の皆様方にもご理解、ご協力をよろしくお願い申し上げさせていただいて、一言片桐議員に対しての質問のお答えといたします。
○細矢俊博議長　８番片桐勝寿議員。
○８番（片桐勝寿議員）　市長、そして執行部の皆様におかれましては、これまで経験したことのないことへの対応ということで、大変心を砕いて、対応に苦労している状況かなと思います。
　　それでは、質問席の方から続けさせていただきたいと思います。
　　まずはじめに第２期の本市の総合戦略についてですが、今後国内人口がますます減少していく中で、日本国内の人の流れが大きく変わっていくと。言葉を変えると、偏った形で集約していくという可能性が非常に高いと考えております。各自治体の施策の良し悪しによって、大きく人口を増やしたり、減らしたりということが起きてくるのかもしれません。
　　また、人が一人では生きられないように、自治体も周りの自治体なくしては生き残っていけないということが言えると思います。これからは、今まで以上に周辺自治体との連携が、大切になってくるのではないでしょうか。次世代技術への対応も迫られ、そして環境、持続可能性に対する責任もしっかりと考えていかなければならないと。これから本市が策定する第５次総合計画、そして第２期の総合戦略は非常に難しい課題への対応が求められているということだと思います。これから示される内容に期待したいと思います。
　　続きまして、コワーキングスペースＣ＆Ｃひがしねについては、山形大学との連携を取りながら、企業マッチングや商品開発などにつながっているということがわかりました。今後とも若者の新しい働き方の発信の場として、新たな仕事を立ち上げる起業の場として、発展していただきたいと考えております。
　　また、質問には入れませんでしたが、次世代型産業の誘致導入については、本市の教育環境の中で育ち、大学等で高い専門教育を受けた子どもたちの就職の場を用意するという意味でも、難しいことではあるとは思いますが、今後とも積極的に取り組んでいただくことを希望したいと思います。
　　そして、結婚の問題については、地方からの若者の流出、晩婚化、未婚化というものが進む中で、非常に難しい課題だと捉えております。
　　出会いに関しては、様々問題はあるとは承知していますが、例えばＳＮＳなどを通じた出会いなど、新しい出会いの形もこれからは考慮していかなければ、対応することが難しいのかなと思います。
    お互いに依存しない対等な夫婦関係を築くための環境の醸成などを図りながら、結婚することが女性にとっても男性にとってもすばらしい人生の一歩になるということを、我々子を持つ親が身をもって、子どもに対して表現するということが大切なのかなと考えていたところでした。施策にするのは難しいところですが、こちらもよろしくお願いしたいと思います。
　　最後に、近年の異常気象に伴う災害、その災害をどのように防ぎ、万が一の場合、どのように避難をしていくのかということが、市民にとって今最も大きな関心事なのではないかと思います。浸水区域が広がり、不安に思っている市民が多くおります。来年度予定の地域防災計画に期待したいと思います。
　　また、新型コロナウイルスの広がりの状況が少しでも早く収束していくことを願い、ひがしね市政クラブの代表質問を終わりたいと思います。
○細矢俊博議長　以上で、ご了承願います。
　　会議の途中ですが、ここで午後３時15分まで休憩いたします。

　　　午後　３時０３分　休　憩

　　　午後　３時１５分　開　議

○細矢俊博議長　休憩前に引き続き、会議を開きます。
　　会派代表質問を続けます。

　　◎東海林克彦議員質問

○細矢俊博議長　新会派令和を代表して、５番東海林克彦議員。
　　　〔５番　東海林克彦議員　登壇〕
○５番（東海林克彦議員）　新会派　令和、５番東海林克彦でございます。
　　新会派令和を代表して、通告に従いまして、登壇にて４項目について会派代表質問を行います。
　　本市は昭和29年の町村合併、次いで昭和33年の市制施行以来、常に前向きな施策に取り組み、発展し続けてまいりました。
　　合併当初は、地域格差を解消するため、中心部と各地域を結ぶ道路整備を積極的に進め、地域の均衡ある発展を目指しました。
　　また、若者の定住促進を図り、伸びゆくまち東根を目標に大森工業団地を造成するなど、農工一体のまちづくりを進めてまいりました。
　　その後、東根市の顔を形成するため、中央地区、一本木地区の土地区画整理事業を実施し、くわえて同期に東北中央自動車道の開通や山形新幹線新庄延伸に伴いさくらんぼ東根駅が開業したことから、さくらんぼ東根駅を中心とした新たなまち並みが形成され、さらには神町北部土地区画整理事業の実施や東根中央橋の整備により、東根地区と神町地区との連坦したまちづくりが進められ、その周辺部では民間事業者による宅地分譲事業が進められるなど、まちの膨らみが見えてまいりました。
　　現在は東桜学館の開校、タントクルセンターやまなびあテラスのオープンなど、教育によるまちづくり並びに子育て支援の充実により、定住人口や交流人口が増加し、県内で唯一人口が増加している自治体となったところであります。
　　そこで、今後ともこの勢いをとめることなく、東根市が発展し続けるためには、さらなる特徴ある施策が必要であると思います。
　　まず一点目、人口減少社会対策における企業誘致等についてであります。総務省統計局資料によれば、平成23年度を人口の継続して減少する社会の始まりの年と捉えており、当時の１億2,800万人から徐々に減少し、令和元年10月時点では１億2,600万人へと８年間で約1.5％減少しております。山形県においても、昭和25年の第一次ベビーブームによって135万人となったのがピークでありましたが、昨年の10月１日時点では107万7,000人となり、隣の仙台市の人口109万人より少なくなっております。
　　本市においては、昨年10月20日に４万8,000人となり、依然として増加傾向ではありますが、少子高齢化の進展によりいずれ減少の波がやってくることは否めません。
　　今後とも持続的に発展していくためには、人口増が必要であり、出生率が上がらない現状化においては、転入等の社会増が鍵となると思います。
　　転入のためには、働く場となる企業や学びとなる大学などの誘致が必要となります。そこで、ここでは働く場となる企業誘致について考えてみたいと思います。
　　現在、本市には４つの工業団地があり、これまでの企業誘致活動により多種多様な業種の企業が立地しております。平成29年度には製造品出荷額が5,346億円となり、米沢市を抜き、県内第一位となったところであります。これは企業奨励補助金制度などにより、工業団地をはじめとする市内企業に対し、税の優遇措置など手厚い支援を行ってきた成果の賜物であると思います。
　　ただ、本市の既存工業団地内は100％立地済みであり、新たに提供できる工業用地がなく、企業誘致を行うには不利な状況となっております。近隣の自治体では、近年工業団地や流通団地を次々に整備し、続々と工場などの建設が行われ、勢いを感じるところです。
　　本市においても第４次総合計画において、新たな工業団地の整備を検討しますとあります。現在の第４次総合計画は、あと１年で計画期間を迎えます。企業誘致を行うとき、紹介できる物件がなければ、他市と競争することもできません。人口増のためには、先ほども申し上げましたとおり、働く場が必要であり、次期総合計画の中で是非新たな工業団地の整備と、企業誘致について積極的なアクションを検討してはいかがでしょうか。
　　次に、２点目、国道48号の整備促進についてであります。
　　明治15年、時の山形県令三島通庸の命により関山峠の標高約600メートルの地点に、長さ284メートルの隧道が掘られ、２年の月日を要し完成した新道が国道48号の始まりであり、仙台から山形さらに秋田方面へ物資を運ぶ重要な道路となり、東根市はもとより山形県の開発と発展に大きく寄与しました。その後、奥羽本線の開通などもあり、一時通行量が減少したときもありましたが、旅客及び物流に対するモータリゼーションの到来による交通量増加に伴い、昭和12年に拡張工事が実施されております。
　　さらに急カーブが続くことや落石や雪崩による通行止めが絶えなかったことから、これを回避するため昭和43年11月に、標高約530メートルの現在地に長さ890メートルと隧道の約３倍の長さで、新しい規格のトンネルが完成したのはご案内のとおりであります。
　　現在、生活様式の多様化や日常生活圏の拡大に伴い、国道48号の平日の交通量は１日あたり9,000台と依然として多い状況にあり、さらにさくらんぼのシーズンの休日には、1万台を超え、交差点近くでは、しばしば渋滞が発生しております。
　　そのような中、関山峠の宮城県側において、平成26年と平成27年に２年続けて雪崩による通行止めが発生しました。特に、平成26年の通行止めは実に10日間という長きにわたり、人や物の移動がかなわず、大きく迂回せざるを得ない状況が発生しており、両圏域の県民、市民はもとより、産業経済活動に大きな痛手となったところであります。
　　雪崩対策については、沿線関係市である本市のほか、仙台市、天童市で構成する国道48号整備促進協議会や宮城山形両県による国土交通省への要望活動が実を結び、翌平成27、28年の２カ年で対策工事を完成するなど、早急な対策が行われ両県民、両市民とも雪崩の不安から解放されたところでありました。
　　また、関山除雪ステーションから峠を挟み、作並の除雪ステーションまでの12キロメートル区間は、急峻な山岳が連なり、規定雨量180ミリを超えると落石などによる災害の恐れがあるとして、事前通行規制が行われることや、降雪による大型貨物車の立ち往生が発生するなどの脆弱性をもっています。
　　仙台圏と本県内陸部を最短で結ぶ重要な本路線の通年における安全・安心な通行を確保すべく、脆弱区間をバイパス化により解消するとともに、国道48号の高速化を目指し、促進協議会はもとより天童・東根両市で整備促進大会を開催するなど、運動を重ねてまいりました。
　　そのような中、運転手不足などを背景に超大型トラックの走行ルートを確保するとともに、安定した物資輸送を行えるようにするため、高速道路をはじめとし、国が直接管理する国道と自治体や庁舎の空港・港湾など物流拠点施設にアクセスする物流上、重要な区間を重要物流道路として国土交通大臣が指定し、機能強化や重点支援による道路整備が優先的に進められる制度が、平成30年３月に制定されました。
　　土田市長はこれをチャンスとして捉え、大臣へ直接要望を行うなど、先頭に立って運動を展開して来られたことが功を奏し、昨年４月に国道48号が重要物流道路に指定されたことは、記憶に新しいところです。
　　市内に４カ所の工業団地を有し、様々な製品の輸送需要のある本市のほか、周辺地域の各業界にとっても明るい決定であったと思います。
　　先の震災時には、命の道として機能した本路線は、震災の復旧から復興へ、さらには成長へと未来志向に基づく仙台、山形両圏域の産業経済及び人の交流促進のため地元はもとより、国・県を挙げて整備促進に取り組むべき最重要な路線であります。
　　市長はこれまで東京オリンピック・パラリンピック終了後に、国土交通省に対しバイパス化にかかる調査等の事業化をお願いしていくと説明しております。あと５カ月あまりでオリンピック開催時期となったわけでありますが、今後どのように取り組まれる予定なのか、お伺いいたします。
　　私は行政サイドばかりでなく、地元自治組織や産業経済団体も一緒になった組織等の立ち上げを行うなど、応援団をつくることも有効かと思いますので、是非ご検討いただきたいと思います。
　　次に、３点目。本市中央部の再開発等についてであります。市中央部は都市計画等により将来のあるべき姿の地図がつくられており、行政主導や民間の開発により道路整備は無論のこと、宅地造成事業が盛んに行われ、良好な住宅地が数多く供給されており、次々に住宅が建設されております。
　　昨年には商業地の地価が山形市に次ぐ県内第２位まで躍進したことは、記憶に新しいところであります。
　　しかし、鉄道を中心に旧国道や13号バイパスに挟まれた区域は、比較的小規模な開発が進んだため、一貫した道路網が少なく、特に神町地区においては宅地分譲地等の開発が進んでおり、人口・戸数とも急激に増加している区域でありながら、鉄道の立体交差がなく、踏切による東西区域のアクセスになっているところから、しばしば渋滞が発生しております。
　　また、国道13号バイパスに侵入できる十字路交差点は、神町自衛隊西門に至る空港交差点と北へ1.6キロメートル離れた旧谷地街道交差点であり、その間は中央分離帯があるため、左折方向にしか侵入できず大変不便であり、神町駅西地区には新たな道路計画が望まれます。神町駅西口改札や踏切立体化と合わせて検討すべき課題と思います。
　　また、さくらんぼ東根駅西地区から縄目工業団地に至るルートや北側の住宅地に至るルートにも課題があるかと思われます。
　　縄目工業団地へのアクセスにおいては、13号バイパスからは上り方向からの出入りしかできません。村山市方面に行くには、東根陸橋側道を通って国道287号交差点に出るか、市営住宅並松団地の脇を通り、並松の交差点からバイパスに侵入する方法がありますが、工業団地へ出入りする貨物は大型車によるものが多く、容易ではないようです。
　　市営住宅並松団地は、昭和30年代後半から40年代後半に建設された木造の住宅約70戸、昭和50年代後半に建設された鉄筋コンクリ―トづくり４階建て住宅２棟32戸で構成されており、このうち木造の住宅は公営住宅等長寿命化計画において、東根市の北部地区もしくは南部地区に建て替えと位置付けられております。
　　長寿命化計画は、令和５年度を目標年次としており、将来の土地利用計画も考えなくてはなりません。
　　さらに東根陸橋の歩道を歩いて、本地域西側にある商業施設に向かう若い方の姿もよく見られます。交通量の多いバイパスの交差点を歩いて渡らなくてはならないなど、安全対策も必要かと思われます。
　　市長は神町西部へのアクセスの問題や、さくらんぼ駅西地区の再開発等の問題については、次期総合計画の中で検討していくとしております。
　　先ほど申し上げましたとおり、これらの地区は地域的なポテンシャルがあり、いろいろな可能性を持っております。これら市中央部の課題に対する市長の現在の思いをお聞きいたします。
　　次に、４点目。周辺部への移住促進策についてであります。冒頭で申し上げましたように、中心市街地が形成されたことや、一本木地区と神町地区の連坦したまちづくりが功を奏し、隣接する区域においても民間の宅地分譲等が活発的に行われ、まち並みに膨らみが見られ、本市の人口増加を支えている状況にあります。
　　一方、周辺部においては、東根市定住促進事業助成金制度の創設により、小田島地区や大富地区では一定の効果が見られるようでありますが、特に長瀞地区や東部地区については、若者世代の中央地区への流出が多く、次世代を担うはずの子どもの数が年々減少しております。このまま傍観すれば、いずれ地域コミュニティの拠点である、まちづくりのエンジンのシンボルである小学校を維持できなくなるのではないかと心配しているところであります。
　　そのような中、平成27年に小学校の児童数の減少が最も顕著であった高崎小学校において、市長の英断により小規模特認校制度を導入し、学区外である神町や東根地区からの入学を認める施策を実施していただき、現在に至っております。
　　この新しい取り組みを支えるため、地元高崎地区としても小学校生徒を対象としたアフタースクールを実施しております。これは、放課後等に地域の人や大学生などと一緒に様々な活動や勉強する取り組み、ニュースポーツや昔遊び、芸術活動など子どもたちのやってみたいを刺激する体験と教員、ＯＢ等による学習活動やＡＬＴによる英会話教室などで、他地区の子どもの地域事業に参加できる環境を整えるなど、地域ぐるみでこの制度を支援しております。
　　そして、この地域住民を中心とする実践活動が内外から評価を得、平成28年12月に文部科学大臣表彰を受賞しております。このことは関係者は無論のこと、地域全体の活力となったところであります。
　　しかしながら、近年は地区外からの児童数はある程度の人数で推移しておりますが、地元の生徒数はなかなか増えず、いよいよ複式学級も考えなくてはならない状況となっております。
　　現在の０歳児から２歳児までの児童数の変化を見ますと、高崎では０歳児５名、１歳８名、２歳５名となっております。
　　また、同様に長瀞では０歳２名、１歳９名、２歳７名と出ており、極めて深刻な数値となっております。この数値がイコール将来の小学校入学に連動する数値であり、高崎同様に憂慮すべき時代といえます。
　　周辺部における子どもの数が急激に減少している実情を勘案すると、早急な対策が必要かと考えているところであります。
　　現在実施しております東根市定住促進事業助成金制度の子育て世代への支援拡充や周辺地域に居住している子育て世代が改築や新築を行う場合にも、地域加算を設け地域にとどまるきっかけになるような新たな施策の検討が必要かと思いますが、市長のお考えをお聞きします。
　　以上、４点についてお尋ねし、登壇での質問といたします。よろしくお願いします。
○細矢俊博議長　５番東海林克彦議員の質問に対し答弁を求めます。
　　土田市長。
　　　〔土田正剛市長　登壇〕
○土田正剛市長　新会派令和、東海林克彦議員の東根市の持続的な発展についてのご質問にお答えをいたします。
　　はじめに、人口減少対策における企業誘致等についてでありますが、本市の人口が現在も増え続けている理由の一つとして、これまで農工一体のまちづくりを推し進めてきた中で、市内に所在する４つの工業団地立地企業をはじめ、優良な企業を誘致し、労働者の働く場の確保ができていることが挙げられます。
　　そして、これらの誘致企業につきましては、安定した企業経営を続けている企業が多く、リーマンショック等の世界的な経済危機をも乗り越えるほどの体力があり、その後も成長を続け、その結果として平成29年には本市の製造品出荷額が県内で１位になるなど、大きな伸びを示し、本市の勢いを支えております。
　　これらの４つの工業団地については、現在全て立地が完了しており、新たに誘致できる工業用地はない状況にありますが、本市における工業団地の選定につきましては、平成28年３月策定の産業創出基本計画において、大森工業団地北側の工業専用地域を、新たな工業団地の適地として選定しましたが、策定した際に実施した「東根市工業団地開発促進調査」の企業アンケート調査結果において、具体的に立地計画を決めている企業は少なく、大きな需要は見込めないこと、県内でも多く工業団地が残っていたこと、合わせて整備した工業用地の売れ残りリスクも考慮して、同計画においては進出企業自らの立地計画に合わせて、市が道路等のインフラ整備を誘致するとしております。
　　一方、本市の工業につきましては、製造品出荷額が県内トップとなったように、着実に成長を遂げております。これは平成21年に国の低工法、農工法による減収補てん制度が廃止となったことを受け、すぐに国に対して、復活の要望を続けながらも、翌年度から切れ目なく本市独自の企業奨励補助制度を創設したことが要因の一つであります。
　　企業側としても、企業連絡協議会による活発な活動により、横の連携等を強化し続ける中、さらに本市においては、平成29年度に工場敷地における緑地面積と環境施設面積を緩和するため、工場立地法の規制緩和条項に基づく緩和条例を制定し、これにより、工業団地内の既存企業が工場等の新築、増築を行うなど、これまでの既存企業をしっかり下支えし、このことで雇用の場の安定確保につながったことが、本市の人口の増加に大きく寄与する結果になったと捉えております。
　　このようなことから、新たな工業団地の整備につきましては、産業創出基本計画を踏まえて実施するものとして、あわせて既存企業についても、これまで同様に支援を継続してまいります。
　　しかしながら、先にも述べましたとおり、現在の世界情勢においては、経済を取り巻く環境が大きく変化を続けることが想定されますので、これらに対応するための様々な施策も考えられることから、新たな工業団地も意識しながら柔軟に判断してまいります。
　　東海林議員の質問に、ここで私の私見を述べたいと思います。
　　今、地方に進出する企業というのは、だんだん少なくなってきております。これは、かつて、平成21年から平成23年ぐらいにかけて、行き過ぎた円高政策というものがありました。１ドル70円台の後半に至ったことも皆様の記憶に新しいところではないでしょうか。つまり、そのときに、日本の企業の大企業は大半が海外に進出をし、そして、逆にそこから日本に輸出をするという手法をとったのであります。
　　したがって、今、力のある企業あるいは大企業を中心として、いわばこれらの問題等については雇用の場も相当確保の見通しが立つわけでありますけれども、それらの企業等のほとんどが、今、海外に進出をしているという状況の中で、地方に目を向ける場が非常に少なくなっているということが挙げられます。
　　なおかつ、今、第４次産業革命に突入したと言われておるわけであります。そういう中において、ＡＩあるいはビッグデータ等々、今から新しい企業というものが非常に考えられるわけであります。今、この第４次産業革命の真っただ中にあって、向こう10年あたり後には、今の現在の職業の４割は消滅するであろうと言われているわけであります。
　　変わって、第４次産業革命が進めば進むほど、我々の現在の想像では及びもつかない新たな仕事、企業というものが創出されるのではないだろうかなと思っているところであります。
　　そういう折に触れて、従来のいわゆる工業団地を分譲して、さあいらっしゃいという手法というのはとっくに通用しないと思っております。それこそ工業団地が荒れてしまうだけになると思っております。そういうふうな状況の中で、例えば、今、東根の工業製品出荷額が米沢を抜いて第１位になったということを触れました。しかし、これも、実は工業団地の雇用者数というのは、最大8,500人いたわけでありますけれども、逆に現在は工業製品出荷額というものが、私が市長になった時点から約2,000億弱、工業製品出荷額が伸びております。逆に雇用者数はどうかといいますと、現在では7,600人になっております。これは、その差はどう理解すればいいのか。恐らくこれはＡＩとかそういう部門が担当しているところが、だんだん、年々多くなるんだろうと思っております。ですから、従来の考え方として、工場が立地をする。並びに、それに連れて、雇用労働人口が多くなるという考えは改めるべきではないのかなと私は思っているところであります。
　　したがって、これからの工業団地の誘致手法というのは、さっき申し上げましたように、大森西工業団地の北側について、ここのところに企業が進出してきた場合に、あるいはその計画があると紹介があった場合には、そこから道路なり、何なりを切って、それでその企業誘致に利便性を図っていきたい。そういう手法に、私は改めるべきなのではないかなと思っているところであります。これは私の私見であります。
　　次に、国道48号の整備促進に向けた取り組みについてでありますが、ご案内のとおり、昨年度は重要物流道路の指定に向けて、石井啓一国土交通大臣に直接面談し、要望活動を行ったほか、元国土交通副大臣で宮城県青葉区選出の土井とおる代議士をはじめ、県選出の遠藤利明代議士、鈴木憲和代議士等と連携をとりながら、積極的な要望活動を進めてまいりました。今年度４月には国道48号の重要物流道路の一次指定を受け、これまでの努力の成果が報われたものと捉えております。しかしながら、一次指定から間もなく１年が経過しますが、現時点において、事業実施に向けたスケジュール等については、具体的に示されていない状況にあります。
　　私は、国道48号の機能強化を図るためには、県境部の脆弱区間約12キロメートル区間をトンネルで結ぶバイパス化が最良の手段であると、仙台市、天童市、東根市で構成する国道48号道路改良整備促進協議会における国土交通省要望をはじめ、様々な場面で申し上げているところであります。
　　さらに、この事業を進めるための調査事業を建設工事に係る人件費や資材単価の高騰が一段落する2020年の東京オリンピック、パラリンピック終了後に進めることを仙台市に提案し、一定の理解が得られ、協議会の要望書にバイパス化構想の一文が盛り込まれたところであります。これを機に、さらに仙台市の協力が得られるよう連携強化を図り、早期の事業着手の実現に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
　　なお、仙台市の優先順位は、愛子バイパスまで11キロ区間、現在４車線化になっております。その先、作並までのいわば愛子バイパスの延長ということが第一の優先順位であります。私が提唱しているバイパス化に向けては必要ないということではありませんけども、仙台市としては愛子バイパスからの延伸を第一優先に考えたいというのが現在の仙台市の考え方であります。
　　したがって、私どものバイパス化構想といかに整合性を今後図っていくかということが大きな問題だと思っております。また、脆弱区間をトンネルで結ぶバイパス化の整備は当面の対策であり、将来、地域高規格道路として整備する時点においても手戻りとならない整備手法であります。実際、山形自動車道の笹谷トンネルにおいては、先にトンネル整備を行い、その後、高速道路の一部として活用しているように、国道48号についても同様の整備を進めていただき、手戻りが出ないことを強くアピールし、関係機関に要望してまいりたいと考えております。
　　さらには、災害発生時における復旧や支援を担う陸上自衛隊が仙台、東根両市に駐屯しており、両駐屯地間を最短で連絡するこの路線を日常的に運行していることから、国道48号は災害物流等の拠点を結ぶ防災、減災の機能も有しているところであります。
　　昨年、国土交通省に要望活動を行った際に、「山形県の横軸整備は地域高規格道路の候補路線となっている国道47号と考えていた」という声を聞いて、非常に残念な思いをした記憶があります。
　　議員ご指摘のとおり、行政だけではなく、地域や経済産業団体からの整備を望む声の高まりが必要不可欠であると考えており、山形県はもとより、仙台市の協力も得ながら、官民一体となった要望活動を今後進めてまいる考えであります。
　　先日、東北中央自動車道東根北インターチェンジから北側区間の供用開始予定年次が公表され、令和７年度までには県境付近まで開通されるとの見通しが示されました。これにより、県内高速交通網の縦軸が整備され、庄内方面や東北北部との経済交流、人的交流等による地域産業の発展、さらには山形空港を拠点としたインバウンド観光の振興等において、大きな効果が期待されるところであります。
　　さらに、横軸となる国道48号の整備促進については、100万人都市である仙台市とのネットワークをさらに強固なものとし、本市や北村山地区をはじめ、県内全域の持続的な発展に寄与するものと確信しております。
　　国道48号の高速化は50年後、100年後の未来を見据え、躍進する東根市をさらなる高みに導くための大きな柱であると私は考えております。このため、郡仙台市長、山本天童市長と連携を図りながら、官民一体となり、国道48号の整備促進に向けた要望、陳情活動を関係機関に対し、積極的に展開してまいります。
　　次に、市中央部の再開発等についてでありますが、はじめに、神町西部地域につきましては、議員ご指摘のとおり、近年、神町駅西側を中心に、民間事業者による宅地分譲等が進み、地域内の人口や交通量が急増しております。特に、若年層の入居者が多く、児童・生徒数が増加していることから、地区座談会等においても、交通安全対策や利便性の向上について要望が出されております。
　　このため、今後の神町地区のまちづくりを進めていく上で、神町駅西地域の住環境や生活環境整備を優先的に進めていかなければならないと認識しており、現在策定中の総合計画や都市計画マスタープランにおいて、その方向性等を検討しているところであります。
　　この地域は、鉄道路線により、東西に分断されていることから、神町駅を利用する通勤通学者等については周辺を大きく迂回しなければならない状況にあります。また、救急搬送や緊急車両等の通行においても課題も多く、さらに、国道13号にアクセスする県道、市道については、慢性的な渋滞が発生し、市民生活にも不便を来している状況にあります。
　　これらの課題を解決していくためには、東西地域の相互通行の拡充と、駅西地域内の渋滞緩和対策を進めていく必要があり、１つの案ではありますが、西側地域と東側を結ぶ自由通路を神町駅構内に整備し、この通路と市道神町西１号線を連絡する道路の整備、さらに、地域の通学路として利用されている神町西１号線の交通量分散のため、同路線と国道13号をつなぐ道路を整備するとともに、国道13号接続箇所に南進北進を可能とする新たな交差点の設置が必要と考えております。
　　また、将来的には、市道山形空港北線の立体交差等も検討していかなければならないと考えております。
　　しかしながら、これらの整備を進めていくためには、相当の時間を要すると考えられることから、当面の対策としましては、国道13号と市道山形空港北線との交差点、通称谷地街道交差点の改良及び同路線における通学路の安全対策のため、歩道整備を進めてまいりたいと考えており、来年度から調査に着手するよう指示したところであります。
　　今後、神町駅西地区の整備を進めていくためには、関係者の事業協力等も含め、多くの課題が予想されることから、有効な対策について、地域の皆様とともに検討してまいります。
　　次に、さくらんぼ東根駅西地区についてでありますが、このエリアは議員ご指摘のとおり、縄目工業団地とのアクセス性の問題や、市営並松住宅が立地しているなど、様々な課題を抱えておりますが、本市における西の玄関口となる重要なエリアであり、これらの課題を解消していくためにも、将来的に新たな市街地形成を進めることが必要な地域であると考えております。
　　しかしながら、再開発等に当たっては、市営住宅を含む住宅密集地であることもあり、莫大な費用と時間を要することから、早期の着手は難しい状況にあります。現在策定を進めている都市計画マスタープランや総合計画において、社会情勢の変化や市民ニーズ等も踏まえながら、中長期的視点から、その方向性について整理してまいります。
　　次に、周辺部への移住促進についてでありますが、これまで周辺部における人口減少への対応として、地域の魅力や地域力の向上を図るべく、道路等の基盤整備や定住促進に向けた支援制度の立ち上げ、小規模特認校制度の導入等を進めてまいりました。
　　定住促進事業助成金制度においては、地区加算を設け、助成額を年々拡充するなど、周辺部への定住の促進を図ってきたところであります。平成24年度以降、大富地区で60件、小田島地区で55件の実績を上げ、人口の増加が見られるようになるなど、一定の成果を上げてまいりました。しかしながら、他の地域においては、議員ご指摘のような厳しい状況が続いているところであります。
　　地方の人口減少につきましては、全国的に大きな課題となっておりますが、すぐに効果が表れる特効薬がないのが現状であります。周辺部の人口減少には核家族化の進展により、若い世代が中心部へと移り住むことによる影響も背景にあると思われます。
　　これまで、移住促進の観点から、重点的な支援を行ってまいりましたが、これにくわえてその地域に住み続けていただくといった観点からの支援のあり方についても社会的な動向を把握し、必要に応じて他自治体の取り組み状況等も参考としながら研究してまいりますので、ご理解をお願いいたします。
○細矢俊博議長　５番東海林克彦議員。
○５番（東海林克彦議員）　ご答弁ありがとうございました。質問席から続けさせていただきます。
　　ＡＩ、ビッグデータ関連の事業が増えているということで、必ずしも労働力の増加には向いていかないということもあるということであります。
　　企業誘致については、平成28年策定の産業創出基本計画を踏まえ、大森西工業団地の北側の工専地域に考えていくということでありました。立地を決めてから用地取得と工業用地造成ということでは最低２年ほどはかかるかと思いますので、是非、情報等がありましたときは機を逸することのないよう、情報収集に努められますようお願いいたします。
　　次に、国道48号のバイパス化や高速化についてであります。100万都市仙台市や天童市となお一層連携を深め、一日も早い事業が実施されますよう、引き続き、官民一体となった積極的な運動を進められるよう期待するものであります。仙台市は現在の愛子バイパス、これを熊ケ根の橋までつないでというのが次の課題だろうとは思います。その後、作並、そして、順序からいけば、どんどんと県境に向かってくるのかなと思いますけれども、そこはやはり笹谷峠のような例もございますので、トンネルを先に何とか手戻りにならないようにやれるよう、運動を強化していければなと思います。
　　続きまして、神町駅西地域の整備や、さくらんぼ駅西地域の再開発についてでありますけれども、総合計画や都市計画マスタープランで方向性が検討されるとのことであります。これについては今からの検討でございますので、いろいろなことが考えられるかと思います。よろしくお願いしたいと思います。
　　また、旧谷地街道と国道13号のバイパス交差点が来年より調査事業に着手されるということであります。非常にうれしい限りであります。今後の都市計画マスタープランや総合計画での位置付け期待しております。
　　最後に、人口減少対策について、特効薬はないとのことであります。周辺部の少子高齢化の問題については時間がかかるものと理解しております。市長が常々申しておりますとおり、今後、国道48号のバイパス化や高速化により、100万都市仙台市とのアクセスが強化されれば、本市は通勤圏であります。県境を越えての通勤通学が今以上盛んになり、その先には移住者も期待できるものと私も考えております。しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、国道48号の整備には時間がかかるわけであります。東部地区や周辺部の現状を打開するために、小規模特認校導入時のような、新たな一手を期待するところであります。
　　例えば、従来の市営住宅とは差別化した子育て専用住宅の建設や、低廉な子育て団地の整備などについて、試験的に東部地区で実施してみてはいかがでしょうか。地元の子どもの数をある程度増やすことが、確保することができれば、小規模特認校に地区外から入学する子どもの保護者にとっても、不安軽減につながるものと思います。
　　以上、ご答弁に対する感謝と、私からの意見を申し上げ、代表質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○細矢俊博議長　以上で、ご了承願います。

　　◎散　　　　　会

○細矢俊博議長　以上で本日の日程は全部終了しました。
　　本日はこれで散会します。ご苦労さまでした。

　　　午後　４時０５分　散　会